慢性炎症と生活習慣病

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概要:
慢性炎症と生活習慣病

2急性炎症 微生物感染や創傷に対する急性炎症に関する研究には長い歴史があり,炎症反応の過程を制御する分子・細胞機能の詳細の多くが明らかになってきた.急性炎症は,本来,傷害に対する急速な宿主の防御反応であり,血管の反応により,白血球や抗体などの血漿タンパク質が感染・組織傷害部位へ運ばれて傷害原因を排除するように作用する.すなわち,貪食細胞を中心とする宿主の自然免疫系が微生物や死細胞などの傷害要因を排除しようとする防御反応である.典型的な急性炎症の病態では,発赤,熱感,腫脹,疼痛の「炎症の4 徴候」が認められることが多い.急性炎症の過程では多様なサイトカインやケミカルメディエーターが放出され,血管の応答と白血球の集積が誘導され,さらに炎症反応が活性化される.傷害要因が排除されてさまざまな収束機構が活性化されると,炎症反応は消退し,組織は恒常性を回復する.治癒・慢性期には血管新生も認められる.たとえば,ヒスタミンやセロトニンは強力な血管拡張作用をもつし,炎症性サイトカインやケモカインは白血球の遊走や活性化を制御する.一部の脂質メディエーターは炎症反応の開始・促進のみならず,収束・消退にも寄与することが知られている.炎症の誘因により多少の相違はあるが,急性炎症では比較的典型的な経時変化を辿ることが多い.慢性炎症 急性炎症の特徴を示さないまま緩徐に進行する慢性炎症については,その特徴を明確に定義づけることが困難であり,慢性炎症の制御機構には不明な点が多く残されている.慢性炎症には,急性炎症が収束しないで慢性化する場合と,明確な急性炎症の特徴を示さないまま低レベルでくすぶるようなかたちで炎症が徐々に慢性化する場合の2 つに大別される.前者では,急性炎症を経て炎症が慢性化するため,病原体などの炎症を誘導する傷害要因を同定できることが多い.これに対して後者では,炎症反応を誘導する要因は必ずしも明確ではなく,臓器あるいは病態により組織学的変化にも大きな多様性が認められる.むしろ,慢性炎症の早期には著しい組織学的変化をともなわないことが多く,生活習慣病やがんに関連する慢性炎症の多くは後者のタイプである.この場合には,組織の実質細胞とマクロファージ,リンパ球,線維芽細胞などの間質細胞との相互作用により炎症の程度が徐々に悪化して慢性化する可能性が高い.近年,組織傷害により細胞外に放出される分子(内因性リガンド)が自然免疫系の病原体センサーにより認識されて誘導される慢性炎症のことを「自然炎症(homeostatic小川佳宏  真鍋一郎概 論