慢性炎症と生活習慣病

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概要:
慢性炎症と生活習慣病

19.老化と慢性炎症17319められる獲得免疫系の機能低下が出現すると考えられる8, 9)(図19- 3C).19-3 加齢にともなう免疫能低下と慢性炎症 加齢にともなって免疫機能は個体レベル・細胞レベルで低下しているが,一方で,高齢者の血中においてIL - 616)やTNF-α17)などの炎症性サイトカイン,CRP(C- reactive protein,C反応性タンパク質)16)や種々の補体分子18)といった炎症性タンパク質は増加している.興味深いことに, 慢性肉芽腫症chronic granulomatous disease19)や白血球粘着不全leukocyteadhesion deficiency20)といった遺伝性の免疫不全疾患, ヒト免疫不全ウイルスhumanimmunodeficiency virus(HIV)感染21)による後天性の免疫不全でも,免疫機能低下にともなう慢性炎症像が認められており,免疫機能の低下が加齢にともなって慢性炎症が出現する原因の1つであることが考えられる. 免疫機能低下と慢性炎症反応との因果関係は分子レベルでは明らかにされていないが,免疫機能低下が継続することにともなう持続的な感染,とくに,サイトメガロウイルスの不顕性感染は,マクロファージを中心とした単球系細胞の持続的な免疫応答と炎症性サイトカイン分泌を引き起こす原因の1つと考えられている22 , 23)(図19 - 4).19-4 慢性炎症と老化制御 カロリー制限(CR)は加齢にともなう老化を防ぎ,多くのモデル動物の寿命を延長させる唯一の確立された手法であるが24),カロリー制限によって,血中の炎症性サイトカイン,炎症性タンパク質の血中濃度が低下することが報告されている25).カロリー制限によるmTOR図19 - 4 加齢にともなう免疫能低下と慢性炎症自然免疫系,獲得免疫系の機能が低下する結果,病原体や死細胞の除去が不十分になる.除去されなかった病原体や死細胞による持続的な刺激はマクロファージや樹状細胞からの慢性的な炎症性サイトカイン分泌を促進する.炎症性サイトカインはさらなる組織破壊を引き起こし,大量の細胞死が誘導されることで悪循環が形成される.:病原体:死細胞:炎症性サイトカイン老化正常な免疫系免疫機能の低下