ブックタイトル生体イメージングUpdate

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概要

生体イメージングUpdate

第Ⅱ部 生体内細胞ダイナミクス─ 生体イメージングで見える生きた細胞の動態と機能─110遺伝子改変技術によって巧みな蛍光プローブを設計することができる.さらに,すでに述べた生物発光イメージングと同様,導入するプロモーターによる蛍光タンパク質の発現制御に工夫を凝らすことで,細胞の体内動態解析だけではなく,細胞の機能,たとえば,細胞内シグナル伝達による標的遺伝子の転写活性をイメージングすることができる.がん研究における生体蛍光イメージングの応用1)生体蛍光イメージングを利用したがん細胞の動態解析 蛍光イメージングは,空間分解能のみならず時間分解能も優れているため,細胞が動くようすをリアルタイムで観察することができる.たとえば,SV40 プロモーターやサイトメガロウイルスプロモーターなどの下流にGFP 遺伝子をつないだベクターを細胞に遺伝子導入し,R. M. Hoffman 博士らが開発したスキンフラップ法9)に準じて細胞をマウスに移植し,励起光を照射してがん細胞から発せられる蛍光を検出し画像化することで,マウスが生きている状態で細胞が血管のなかを移動するようすが目の前で観察できる( 図12 - 3,巻頭 写真31).このようなリアルタイムの細胞動態観察は,CT,MRI,PET などほかのイメージング手法ではむずかしい.2)生体蛍光イメージングを利用したがん細胞の細胞周期のイメージング 蛍光イメージングにおいては,細胞の追跡のみならず,遺伝子改変によって蛍光タンパク質の構造・機能に工夫を凝らすと,さまざまな細胞機能を画像化することができる.たとえば,筆者らは,宮脇敦史博士との共同研究で,正常細胞とがん細胞の細胞周期を担がんマウスの体内でイメージングすることに成功した10).まず,細胞周期の進行におけるG1期とS/G2/M 期を色分けすることで,リアルタイムで細胞周期進行をイメージングできるFucci(fluorescent ubiquitination-based cell cycle indicator)システムを開発し(G1 期では核が赤色,S/G2/M 期では核が緑色に見える),それを正常に近い細胞株であるマウス乳腺由来細胞株NMuMG 細胞(Fucci-NMuMG 細胞)と代表的ながん細胞株であるヒト子宮がん由来細胞株HeLa 細胞(Fucci-HeLa 細胞)に導入した. Fucci-NMuMG 細胞とFucci-HeLa 細胞をヌードマウスの皮下に移植し,経時的に蛍光イ2図12-3 血管内を移動するがん細胞の生体蛍光イメージング麻酔下のヌードマウスにスキンフラップ法に準じて手術を施行し,GFP を発現するヒト肺がん細胞を血管内に注入して蛍光イメージングを行い,血管内を移動するがん細胞(矢印)をイメージングした(巻頭 写真31 参照).間質血管