ブックタイトル生体イメージングUpdate

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概要

生体イメージングUpdate

8.骨髄内イメージング─ 破骨細胞と骨動態─7188-2 ライブイメージングによる破骨前駆細胞の可視化スフィンゴシン1-リン酸(S1P)による破骨前駆細胞の遊走制御メカニズム 破骨細胞は単球系血液細胞から分化・成熟する多核巨細胞である.破骨前駆細胞は血中と骨組織とのあいだを出入りしながら,必要なときに骨表面へ遊走し,成熟破骨細胞に分化して骨吸収を行っている.筆者らはこれまで,2 光子励起顕微鏡でマウスの骨組織内をマウスを生かしたまま観察し,破骨前駆細胞の骨吸収面への遊走・接着が,脂質メディエーターの一種であるスフィンゴシン1-リン酸 sphingosine 1-phosphate(S1P)によって動的に制御されていることを明らかにしてきた2), 3). S1P は,免疫系ではT 細胞などの多様な細胞を遊走させるケモカインとして機能することが知られている4), 5).定常状態でのS1P は血中に豊富に存在し,組織中のS1P 濃度は低い.このため,S1P に対するケモタキシス(走化性)は,基本的には,細胞が組織から血中へ移出する際に作用すると考えられている.一方,破骨前駆細胞は,S1P に近づくように,すなわち血管のほうに進むための1 型受容体(S1PR1)と,逆に,S1P から遠ざかるように,すなわち骨のほうに進むための2型受容体(S1PR2)の2つの異なる種類のS1P 受容体をもっている.破骨前駆細胞はこの2 種類の受容体を車のアクセルとブレーキのようにうまく使い分けて骨組織内への出入りを調節していることが,骨組織のライブイメージング技術を用いて明らかとなった2), 3).ビタミンDによる骨破壊抑制メカニズム ビタミンD が骨に作用し,骨破壊を抑制して骨を強くする(骨密度を増加させる)ことは以前より知られており,実際,活性型ビタミンD 製剤は骨粗鬆症の治療薬として汎用されている.しかしながら,なぜビタミンD が骨破壊を抑制するのかということについては不明な点が多かった.とくに大きな謎とされてきたことは,in vitro の実験系では,ビタミンDは骨を破壊する作用を示す破骨細胞をさらに増やす,すなわち,骨破壊を促すように作用することであった6), 7).このin vitro とin vivo との実験系の違いのなかに謎を解く鍵があると考えられていた8). 筆者らは,この疑問を解決するため,ビタミンD が破骨前駆細胞の動きの制御にかかわっているかもしれないという仮説を立てて,まず,細胞動態解析装置(EZ-TAXIScan)などを用いてin vitro での解析を行った.その結果,天然の活性型ビタミンD であるカルシトリオール,臨床現場でよく使用されている最新の活性型ビタミンD3誘導体であるエルデカルシトールともに破骨前駆細胞に作用して,破骨細胞が骨に近づくための受容体であるS1PR2 を減らすことにより破骨細胞を骨から遠ざける,すなわち,破骨細胞を血管側へ移動させるということが明らかになった9). つぎに,破骨前駆細胞に対するビタミンD の効果がin vivo でもみられるかどうかを確認するため,活性型ビタミンD で治療して骨破壊が抑えられた骨を解析した結果,確かに,骨組織中の破骨前駆細胞におけるS1PR2 の発現量が有意に低下していることが明らかとなった.さらに,骨組織のライブイメージング技術を用いて,活性型ビタミンD で治療中のマウスの骨髄腔を観察し,生体の骨組織内における破骨前駆細胞の動態を解析した.その12