ブックタイトル生体イメージングUpdate

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概要

生体イメージングUpdate

1.生体イメージングとは─ その実際と目指すもの─311-1 「見えないものを見る」試みと,生命科学研究の歩み 人類が目には見えないものを見ようとして,3世紀あまりが経過した(図1 - 1).17 世紀後半,オランダの職人A. van Leeuwenhoek は,自作の顕微鏡で,「目には見えないが存在する微小な生物(微生物)」を観察し,これがさまざまな疾患の原因になっていることを発見した.これこそが,のちの微生物学の先駆けである.同じころ,英国の科学者R. Hooke は,同じく独自に開発した顕微鏡を用いて,生物を構成する「目には見えない基本単位」として「細胞」を発見した.いずれも「目には見えないもの」を「見て」,それによって生物学上の新しいコンセプトを創出してきた.以降,生物学・生命科学研究の進歩は,常に可視化技術の革新とともに歩調を合わせてきたといっても過言ではない. 光学顕微鏡の基本設計はいまから約百年あまり前,19 世紀末にほぼ完成したといわれている.この当時の顕微鏡は,対物レンズと接眼レンズが鏡筒でつながれた構造をしており,基本的には現在の顕微鏡と同じである.当時,世界最高レベルの顕微鏡技術を誇っていたドイツでは,顕微鏡で疾患の組織や細胞を観察してその原因を探る病理学が全盛時代を迎えていた(R. L. K. Virchow やP. Ehrlich らが活躍した).これらは決して無関係ではなく,高い顕微鏡技術がドイツ病理学の繁栄を支えていたことは論を俟たない. 20世紀に入って「見る技術」はさらに発展していく.顕微鏡観察における空間分解能の限界(すなわち,2 点間識別距離の限界)は,観察に用いる光の波長によって規定される(アッベの原理).そこで,観察媒体として光ではなく光よりも短波長の高速電子線を用いた電子顕微鏡では,光で見るよりもさらにミクロの世界,たとえば,細胞内小器官やウイルスの可視化に成功した.その一方で,「見る技術」開発の別方向の展開として,蛍光顕微鏡を用いた生体生体イメージングとは─ その実際と目指すもの─石井 優1 生体イメージングとは,生きた組織・臓器の内部を,可能であれば個体そのものを生かした状態で観察し,そのなかの生きた細胞・分子の動態を解析する研究手法である.近年の光学機器,蛍光イメージングの技術革新により,いまやさまざまな組織・臓器における,多種多様な生命現象を生体イメージングすることができるようになり,生き生きとした細胞・分子の動き,生命の「真の姿」をつまびらかにすることが可能となってきた.静止画の世界から動きのある世界へ,生命科学研究は確実に不連続な新しいフェーズに突入した.summary多光子励起顕微鏡(2 光子励起顕微鏡)  動態学keyword