ブックタイトル生体イメージングUpdate

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概要

生体イメージングUpdate

第Ⅲ部 神経機能ダイナミクス─ 神経系の生体イメージングで見える脳・神経のはたらき─146起こる生理現象を解析したものがほとんどである.そこで,筆者らは,神経回路の発達や学習による脳機能変化といった,より長い時間スケールで起こる現象を解析するために,小脳における長期生体タイムラプスイメージングの手法を開発した.16-2 小脳における長期生体タイムラプスイメージング 生体脳において,同一のシナプスを数日から数カ月の長期にわたって繰り返しイメージングするには2通りの方法がある.1つは頭蓋骨に小さな穴を開け,そこをカバーガラスで塞ぐ方法(クラニアルウインドウ cranial window 法),もう1つは頭蓋骨がほぼ透明になるまで薄く削る方法(シンドスカル thinned-skull 法)である7), 8).ともに大脳皮質においては有効であるが,小脳への適用には注意が必要である.まず,小脳を覆う後頭骨はシンドスカル法による長期イメージングには適さない9).したがって,クラニアルウインドウ法が唯一の選択肢となるが,大脳皮質において用いられる方法をそのまま適用すると,骨のすみやかな再生によって短期間で穴が塞がってしまい,その後のイメージングが不可能となる9).これは,後頭骨と大脳皮質を覆う頭頂骨の性質の違いによると考えられる.そこで,筆者らは,図16-1に示すように,クラニアルウインドウ法の簡単な改変を行った9).その結果,小脳においても高い成功率で数週間から数カ月,場合によってはほぼ1年にわたる長期生体タイムラプスイメージングを行うことが可能となった9), 10).16-3 発達期における登上線維の競合的除去 筆者らが改変した方法は,出生後1週間程度の幼若マウスにおいても用いることができる.ただし,幼若マウスの手術は成体マウスに比べてむずかしく,また,母マウスが手術後の仔マウスをしばしば受け入れないことから実験の成功率は低くなる11).しかし,小脳皮質の初期発達を生体内で可視化できるという利点は大きい. 神経系の多くの領域では,発達初期にはシナプスが過剰に形成され,その後,不要なものシナプス形態可塑性:神経細胞間のシグナル伝達が行われるシナプスの形態変化.一般的には既存のシナプスの大きさが変化することを含むが,本章においてはシナプスの新規形成や除去のみを対象としている.タイムラプスイメージング:観察対象を同じ視野で繰り返し,経時的にイメージングすること.イメージングの時間間隔は目的に応じて,数秒から数カ月までさまざまである.小脳プルキンエ細胞:小脳のおもな機能は運動や平衡感覚の制御である.プルキンエ細胞は小脳皮質に存在する大型の抑制性神経細胞で,身体の運動,感覚情報を統合し,運動出力を調節する機能を担っていると考えられている.平行線維:プルキンエ細胞に入力する2 種類の興奮性軸索のうちの1 つ.マウスの場合,1 個のプルキンエ細胞は約100 , 000 ~ 200 , 000 本の平行線維とシナプスを形成する.登上線維:プルキンエ細胞に入力する2 種類の興奮性軸索のうちの1 つ.通常,成熟小脳における1 個のプルキンエ細胞は1 本の登上線維のみから入力を受ける.keyword解説