ブックタイトルRp+2017年春号

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概要

Rp+2017年春号

006 Vol.16,No.2問診だけでも漢方薬は選択できる 漢方薬には各々得意とする患者さんのパターンがあります.従来はそのパターンを① 望診,②聞診,③問診,④切診(腹ふく診しん・脈みゃく診しん),の4つの診察(四診)順で診断(漢方では「弁べん証しょうする」と言います)を付けていき,この順序で処方決定の優先順位を決めています.多くは③の問診止まりで処方が決まります.④の切診は確認試験として有用ですが,診察医の主観に左右され,再現性に乏しいという意見もありますので,必ずしも必要と考えなくてよいと思われます.ことさらに,薬剤師は体に触れた診察はできかねますので,患者さん対薬剤師の場面では③の問診レベルまでのアドバイスで十分と思われます. 私はこれまで,漢方薬の各論からAlternative Pathway(もう一つの処方法)というフローチャートを提唱してきました(p.7,図).Alternative Pathwayを使えば,問診から漢方薬についてのアドバイスができ,服薬指導や処方提案にも役立ちます.「虚実」や「気血水(腎)」を無視するのかというお叱りを受けることがありますが,このフローチャート項目はいずれも虚実に関して重み付けのある項目を取り上げているので,知らない内に「虚実」を判断しており,結果的には無視はしていないとお答えできます(表).入門!実践的漢方薬服薬指導漢方薬の使い方のキホン1表 気血水(腎)理論における“気”の異常と総合的な虚実の判定??のぼせ,発作性頭痛,顔面紅潮 ? 実 証気 逆過剰な気の跳ね返り・(特に)頭部への貯留(しばしば気鬱(滞)を伴う)抑うつ気分,喉の痞え感,鳩尾の痞え感 虚証~実証気鬱(滞) つか みぞ おち気の流れの停滞(次第に貯留状態へ)虚 証食欲不振,胃腸虚弱,全身倦怠感,易疲労感体幹(全身)の冷え便秘(傾向)脾虚:栄養・吸収・抵抗力低下陽虚:熱産生・代謝の低下脾・陽虚:冷えによる腸のぜん動運動低下気 虚気の流れの不足総合的な気血水(腎)理論における“気”の異常分類 特徴的・代表的愁訴(体内の代謝の状態) 虚実の判定