ブックタイトルRp+2017年春号

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概要

Rp+2017年春号

Vol.16,No.2 003「漢方薬」と聞くと皆さんはどんなイメージをお持ちですか? 「古くさい」「長くのまないと効かない」「煎じるのが面倒」などといったネガティブなイメージを抱かれている方々が少なくないのではないでしょうか? 実は私もかつてはこのようなイメージを持っていました.しかし人は変わるものです.あるとき,私は尿管結石を発症し,NSAIDsやスコポラミンを用いてもなかなか痛みが取れませんでした.そのときに,MRさんから聞いた「芍シャク薬ヤク甘カン草ゾウ湯トウ」の説明を思い出し内服したところ,ものの5分程度で症状(疼痛)が取れたではないですか. そんな治療ポテンシャルを秘めた漢方薬をもっと使ってみたい,特に,私の専門である更年期障害をはじめ,「西洋医学で症状が改善しない患者さん」に応用してみたいという思いに駆られたのはわずか10数年前のことです.当時は各種漢方入門セミナーを手当たり次第に受講した記憶があります.ただし,漢方薬を学ぶにあたり,大きな障壁がありました.漢方と言えば「証しょう」(漢方医学における患者状態を指す言葉,診断)の知識が必要です.気き ・血けつ・水すい理論,陰いん陽よう虚きょ実じつといった独特な患者状態の把握法(診断法)をクリアしないと次に進まないのです.これらは「漢方医学」という日本の伝統医学を学ぶうえでのいわゆる総論として大変重要な部分ですし,いずれは体得することが勧められます.かく言う私も,一時は診察法(望ぼう診しん・聞ぶん診しん・問もん診しん・切せっ診しん)に没頭したこともありました. しかし,十分に漢方医学を精通する前に,漢方薬の必要性が日常診療で上回りました.そのとき,まずは漢方薬を西洋薬と同様にひとつの薬として特徴を学ぶことで,適切な選択ができることに気付かされたのです.そこで,本特集は私の臨床経験を交えながら,「漢方薬」という各論を習得することを目的に構成しました.また,後に必要性が高まる漢方医学の総論にもスムースに入り込めるよう,その知識も幾分盛り込みつつ解説しました. 読み方さえ曖昧な漢方薬を学ぶ“第一歩”として本特集をお役立ていただき,目の前にあるハードルを飛び越えるきっかけとなることを期待しています.この一歩が,漢方薬の適正使用,さらには患者さんのアドヒアランス向上へとつながることと確信いたします. ようこそ,古くて新しい漢方薬の世界へ(^O^)/東北大学病院産科婦人科・同漢方内科 大澤 稔