ブックタイトル治療 100巻 4月号

ページ
5/16

このページは 治療 100巻 4月号 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

治療 100巻 4月号

4お母さんを守ろう プライマリ・ケアを担うなかで,子育て世代の女性・男性の診療に当たることもあることと思います.本特集は,これから妊娠を予定している女性やそのパートナー,家族に,外来診療の限られた時間のなかで最適なアドバイスができることを目的として,2015年に南山堂から発行された『お母さんを診よう1)』を前作と捉え,内容をなぞるようにアップデートしています.「次世代のための予防医療」では,アメリカ予防医学専門委員会(U.S. PreventiveServices Task Force:USPSTF)の推奨を参考に,子育て世代に勧められている内容を取り上げています.よく「母」と「子」だけが取り沙汰されますが,子どもは母一人で育てるものではありません.父,家族,そして,地域があります.妊婦健診という枠組みではなく,「家族」,「地域」をまるごとみる,家庭医・総合医の“いつもの外来”のなかで対応できることを増やしたいと考えています. また,女性の社会進出と晩婚化を背景に妊娠年齢が高齢化するなか,不妊も身近な話題となり,少子化も社会問題となっています.こうした状況も踏まえて,基本的な産前ケアの知識とともに,不妊治療に関する項目に重点を置きました.世間を賑わすニュースには,家庭内暴力,虐待,子どもの貧困などもあり,そういう事件が起きないことを願って,2017年に新たに発表されたドメスティック・バイオレンスの「予防」を扱います.さらにその上流にある原因への介入として「健康の社会的決定要因」という概念が学べるように,若年妊娠をテーマとして新たに盛り込むこととしました. 妊娠や出産に向けた悩みはさまざまあっても,妊娠前は産婦人科通院が始まっていないことが多く,日常診療を担う家庭医の“力の見せ所”といえます. 読み終わったその次の外来から使える内容になっていますので,お楽しみください. さいごに,編集幹事に推薦いただいた金城謙太郎医師,相談役である姉で編集者の松原悠子氏,多くの場面でご指導いただいた産婦人科専門医で家庭医の先輩でもある水谷佳敬医師をはじめ,ご執筆いただいた先生方にあらためて謝辞を述べたいと思います.[編集幹事]亀田ファミリークリニック館山 家庭医診療科吉澤瑛子妊娠前は家庭医の“力の見せ所”1) 中山明子,西村真紀(編):お母さんを診よう─プライマリ・ケアのためのエビデンスと経験に基づいた女性診療,南山堂,東京,2015.参考文献