ブックタイトル治療 100巻 4月号

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概要

治療 100巻 4月号

Vol.100,No.4〈2018.4〉 469お母さんを守ろう 家庭医は産前家族の応援団1 ママをサポートする制度 妊娠中は,つわりなどさまざまな症状により仕事に影響が出ることも多い.仕事の配慮が必要だと判断した場合,外来と職場をつなぐツールとして「母性健康管理指導事項連絡カード(母健カード,図1)」が簡便で使いやすく,診断書と違い無料で作成できる点も患者にとってメリットである.産科外来では常備されていることが多いが,プライマリ・ケアの現場ではインターネットからダウンロードができ,母子健康手帳にも添付されているため,これを利用すればよい. 産前休業は本人が請求する必要があること,産後休業は医師が認め本人の希望があれば6週間で復帰は可能であることがポイントである.また出産の定義は妊娠4 ヵ月以上の分娩をいい,「死産」や「流産」も含まれることも押さえておくべきである. 育児休業の取得に関しては,非正規雇用者は一定の条件が必要となる.それは「育児休業開始時において,同一の事業主の下で1年以上雇用が継続している」,「子が1歳6 ヵ月までの間に労働契約が更新されないことが明らかでないこと」であり(2017(平成29)年10月1日施行時点),徐々に非正規雇用者に対する法整備が進んできている. 休業中の手当に関して,企業には産前・産後休業,育児休業期間中の賃金の支払い義務はないが,一定の条件を満たせば「産前・産後休業出産手当金」,「出産育児一時金」を健康保険から,「育児休業給付金」を雇用保険から受け取ることができ,また所得税や健康保険料などが免除されるなどの優遇措置がある. ママをサポートするこれら制度の課題として「企業規模」と「雇用形態」の違いで制度利用の差が大きいことがある.「企業規模」に関して,20 ?40代の働く女性の企業規模をみてみると100 人未満で働く割合は40% を超える(正規雇用が39%,非正規雇用が64%)3).一方で企業規模が小さくなるにしたがって産前・産後・育児休業の取得率が下がることがわかっている(ただし就業している女性の年齢層などは不明)4).また両立支援の目標を立てる「一般事業主行動計画」の作成が次世代育成支援対策推進法で義務づけられているのは101人以上の企業であり,規模の小さい企業であるほど育児休業の制度が表1 医師が知っておくべき制度制 度ポイント法 律妊産婦健診のための時間の確保有給休暇を取らなくてもよい請求が必要男女雇用機会均等法妊娠中または出産後の症状等に対応するための措置医師が必要と認めた場合に請求する「母性健康管理指導事項連絡カード」産前休業産前6 週間(双子は14 週間)請求する労働基準法産後休業産後8 週間は休業産後6 週間は強制的に休業短時間勤務制度子が3 歳までは事業主の義務育児休業 育児・介護休業法(パパ・ママ育休プラスも含む)子が1 歳6 ヵ月または2 歳に達するまで育児休業をすることができる