ブックタイトル治療 100巻 4月号

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概要

治療 100巻 4月号

454 Vol.100,No.4〈2018.4〉妊婦さんが受診したらはじめに 基礎疾患のある人は,それらが妊娠へ与える影響について少なからず不安を抱えている.本人だけでなく児のさまざまなアウトカムをよくするためにも,妊娠可能年齢の人に対しては妊娠前から治療の安全性・重要性について十分に話し合っておく必要がある.本稿では気管支喘息・うつ病・甲状腺疾患の3つを取り上げ,とくに妊娠前のケアに力点を置いて概説する.気管支喘息 妊娠により気管支喘息のコントロール状態は影響を受け,それぞれ約1/3 の割合で増悪・軽快・不変のいずれかの経過をとる.そのため,妊娠中は月に1回程度はコントロール状態を評価することが望ましい1).1 妊婦は「2人分」呼吸をしなければならない 妊娠中に気管支喘息のコントロール状態が悪ければ,胎盤に十分な酸素が行き渡らず,母体だけでなく児にとっても早産や低出生体重,周産期死亡率の増加などさまざまな弊害が生じる.裏を返せば,コントロール状態を良好に維持することができれば,喘息が母体や児に与える影響はほとんどないといってよい1, 2).Ⅰコモンディジーズの挙児希望─ 気管支喘息,うつ病,甲状腺疾患─14わからなければ本文を読んでみたほうがいいカモ挙児希望のある女性の基礎疾患の管理について,正しいものを以下から3つ選べ.①気管支喘息のコントロールが不良であっても,胎児には大きな影響はない.②うつ病があれば,妊娠前?出産後まで必ず抗うつ薬を継続すべきである.③妊娠初期において抗甲状腺薬を使用する場合,プロピルチオウラシルを用いるのが望ましい.④甲状腺機能低下症では,妊娠すると甲状腺ホルモンの必要量が増えることが多い.⑤ 基礎疾患のある人に対しては,治療の安全性や重要性について十分に説明してshared decisionmakingに努め,必要に応じて周産期医療スタッフや行政との連携を図る.気になる答えは論文の最後で!山下洋充亀田ファミリークリニック館山 家庭医診療科