くすりのかたち

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くすりのかたち

137第4章 部分構造を読むはずです.実はこの 部分の構造こそピボキシル基なのです.見てのとおり,この構造もエステル構造ですから,生体内で加水分解を受け,その結果ピバリン酸が生成されるのです.つまりピボキシル基を有する薬剤は活性体を化学修飾したエステル系プロドラッグであると同時に,ピバリン酸のプロドラッグでもあると見ることができるのです.このように難解に感じる添付文書の説明文ですが,エステルの構造を読めるようになった皆さんなら,さほど苦労せずに解読できたのではないでしょうか.図4-36 ピボキシル基をもつ薬剤の化学構造の比較セフカペンピボキシル(フロモックス) セフジトレンピボキシル(メイアクト)OOCH3CH3H3CONSH2NOCH3N HOONNS SONCH3テビペネムピボキシル(オラペネム)OOH3COHNNCH3 NSSOOO CH3CH3CH3ONSH2NCH3N HOONSOOOOCH3CH3H3CO NH2化学構造表記について化学構造式からエステル構造を探す際には少し注意が必要です.ここに示した構造はすべて添付文書に記載されるエステル構造の表記なのですが,このように添付文書での表記方法は一定の決まりがありません.そもそも添付文Memoいろいろなエステルの表記? COO ?? OCO ?? C(O)O ? ?(O)CO ?? CO ?O書への化学構造式の記載方式(フォーマット)の厳密な規定がないようで,そのため各製薬会社はそれぞれ独自のスタイルで化学構造式を表記しています.こうした表記は,特にエステル構造で顕著に見られますが,これでは化学構造式から瞬時に正確な情報を得なければならない現場の薬剤師にとっては少し困ります.各製薬会社ならびに添付文書作成にかかわる関係各所の方々には,ぜひ構造式表記の不統一さの改善に向け,ご一考願いたいと思います.