図解 製剤学

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図解 製剤学

542章 製剤学のための物理薬剤学55D レオロジー(変形と流動)2 ニュートン,非ニュートン流体と流動曲線(レオグラム) 日局16 では,通例粘度の単位としてミリパスカル秒(mPa・s)や動粘度の単位として平方ミリメートル毎秒(mm2/s)も用いている. せん断速度D とせん断応力S との関係を示すグラフをレオグラムrheogram という.縦軸にせん断速度,横軸にせん断応力をプロットするので,傾きは粘度ηの逆数となる.D?S 曲線は,流動曲線flow curve または稠度曲線consistency curve と呼ばれ,これにより,流体のレオロジー的性質を知ることができる. ニュートン流体のD?S 曲線は図2-17a に示すように原点を通る直線として表され,直線の傾きの大きな液体ほど粘度は小さい.ニュートン流体は粘性のみで弾性はもたず,水やエタノールなどの純粋な液体や低分子溶液にみられる. ニュートンの粘性法則に従わない液体を非ニュートン流体non?Newtonianfluid,その流動を非ニュートン流動と呼ぶ.レオグラムは原点を通る直線とはならない.高分子溶液やコロイド溶液,乳濁液,懸濁液,軟膏などの液体?液体,液体?固体の不均一分散系の製剤の流動では,ニュートンの粘性法則に従わないことが多い.非ニュートン流体の流動は,そのレオグラムの型から一般に図2-17b?e のように分類されている. レオグラムは原点を通らないが,直線となり,せん断応力軸と交わるような流動を示す場合を塑性流動plastic flow(ビンガム流動Bingham flow)という(図2-17b).せん断応力軸と交わる点あるいは,曲線の直線部分をせん断応力軸に外挿するとき交わる点を降伏値yield value(S0)と呼ぶ.せん断応力が降伏値S0 に相当する応力以上にならないと,流動は開始しない.η′を塑性粘度plastic viscosity といい,この逆数を易動度mobility と呼ぶ.懸濁シロップ剤,軟膏やチンク油などの濃厚懸濁液の分散媒がゆるい凝集を起こしているときにみられる.ケチャップやマヨネーズなどの食品もこの流動を示す. せん断速度をD,せん断応力をS とすると,D = 1 η′(S-S0) (2?34)  レオグラムが,降伏値S0 以上のせん断応力部分で上向きに凹になる場合の流動を準(擬)塑性流動pseudo(quasi)plastic flow と呼ぶ(図2-17c).降伏値より大きなせん断応力を加えると,塑性流動では一定の粘度を示すのに対し,準(擬)塑性流動では,見かけの粘度が減少する.メチルセルロース,カルメロース,アルギン酸ナトリウムなどの高分子の2~3 %の濃厚水溶液がこの性質を示す.製剤学のための物理薬剤学2章図2?17 ニュートンと非ニュートン流体の流動曲線(レオグラム)a.ニュートン流動b.塑性流動 c.準塑性流動d.準粘性流動e.ダイラタント流動D D DD Dη(小)η(小)η(大)η(大)η(大)η 1η 1η 1η 1η 1SSS0 S S 0 S 0 0 00 0