ブックタイトル精神科薬物療法マニュアル

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概要

精神科薬物療法マニュアル

1192 抗精神病薬受容体と陰性症状に関与するセロトニン5-HT2A 受容体を遮断する作用を有している.セロトニン作動性神経はドパミン作動性神経に対して抑制的に作用するが,SDA はセロトニン作動性神経を遮断してドパミン作動性神経の抑制を解除するように作用する.錐体外路症状の発現に関与する黒質線条体神経路ではセロトニン作動性神経の分布が多いため,SDA がセロトニン5-HT2A 受容体を遮断すると線条体のドパミンの放出が促進され,機能が低下しているドパミン作動性神経を刺激して錐体外路症状が発現しにくくなる(図2).陰性症状や認知機能障害に対する改善作用も同様な機序である.ドパミン作動性神経が過活動となっている中脳辺縁神経路ではセロトニン作動性神経の分布がないため,ドパミン作動性神経の抑制は解除されず抗精神病作用を示す. ブロナンセリンは,リスペリドンやペロスピロンなどのSDA とは異なり,ドパミンD2/3 受容体への結合親和性がセロトニン5-HT2A 受容体よりも高く,ドパミン・セロトニン拮抗薬(dopamine-serotonin antagonist:DSA)とも呼ばれる.アドレナリンα1 受容体,ヒスタミンH1 受容体,あるいはムスカリン性アセチルコリン受容体など,他の受容図2 セロトニン・ドパミン拮抗薬の作用機序①ドパミンD2 受容体を遮断し,抗精神病作用を示す(中脳辺縁系神経路)②セロトニン5-HT2A 受容体を遮断し,ドパミンの放出が促進され抗精神病作用を示す(中脳皮質神経路)③ドパミンD2 受容体の遮断のみでは錐体外路症状が発現するが,②と同様にドパミン放出の増加により,その症状は軽減する(黒質線条体神経路).②陰性症状・認知機能障害の改善③錐体外路症状の軽減①陽性症状の改善セロトニンセロトニン5-HT2A受容体ドパミンドパミンD2受容体①中脳辺縁系神経路②中脳皮質神経路③黒質線条体神経路②① ③SDA