ブックタイトル精神科医×薬剤師クロストークから読み解く精神科薬物療法

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精神科医×薬剤師クロストークから読み解く精神科薬物療法

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精神科医×薬剤師クロストークから読み解く精神科薬物療法

65統合失調症01が求められることになります.一口にアドヒアランスといっても,実は多くの要症 例因がそれに関係しています.患者さん側の要因,医師側の要因,環治療に関する要因,そして環境的な要因などがあり,医療者側はさまざまな要因に目を向ける必要があります( 参照エビデンス1).3 病気の経過を整理する患者は復学したが授業についていけないと言い,しばしば学校を休むようになった.かろうじて翌年3月卒業したが,その後は自宅に引きこもる生活となった.「頭がうまく回らない」などと訴え服薬を拒むようになった.家族も「薬が強すぎるのではないか」と疑問を持つようになった.数ヵ月後,「テレビに出ている人が自分の考えを見透かして全国に放送している」などといい不穏となり,家族も対応が困難となりA精神科病院に第2回目の入院となった.6ヵ月間入院した後退院したが,処方は前回退院時にRp.1であったが,今回の退院時はRp.2に大幅に増量されていた.?ジプレキサ錠(10mg) 1回2錠 1日1回 夕食後?インヴェガ(パリペリドン)錠(6mg) 1回1錠 1日1回 朝食後?デパケン(バルプロ酸)錠(200mg) 1回1錠 1日3回 毎食後?ヒルナミン(レボメプロマジン)錠(25mg) 1回1錠 1日1回 就寝前?レンドルミン(ブロチゾラム)錠(0.25mg) 1回1錠 1日1回 就寝前増量追加Rp. 2経2過退院して1年後,「自分は,薬をのまないでももう大丈夫」と考え再び怠薬するようになった.怠薬後1ヵ月過ぎた頃より幻覚妄想状態が再燃し,A精神科病院におよそ1年間入院した(3回目).退院後デイケアへの通所を試みたが「周りの人とうまく話せない.むしろ調子が悪くなる」といい参加しなくなった.このような態度に両親や弟からしばしば叱責され,患者はいらいらして夜中に壁を叩き生活リズムも不規則となった.その後梱包作業のアルバイトを始めたが,仕事のミスや作業の遅さを上司から厳しく注意され,数日後体調の不良を訴え出勤を拒むようになり,事実上解雇された. 以後無為に家で過ごすようになったが,次第に表情が硬く独語,空笑を認め,さらに家族により大量の薬がタンスの奥に片付けられているのを発見された.A病院に相談したが満床のためその1週間後,当院へ転院入院となった(計4回目の入院).入院前の処方はRp.3であった.経3過