ブックタイトル精神科医×薬剤師クロストークから読み解く精神科薬物療法

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精神科医×薬剤師クロストークから読み解く精神科薬物療法

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精神科医×薬剤師クロストークから読み解く精神科薬物療法

63統合失調症01統合失調症ではDSM-ⅣやICD-10などの国際的診断基準がありますが,その他, 症 例心理検査や評価尺度はどのような時に使われ,参考とされていますか?ロールシャハ検査はいわば定性的な検査で統合失調症の可能性があるかどうかの参考となる検査で,症状の重症度はBPRS(簡易精神症状評価尺度)やPANSS(陽性・陰性症状評価尺度)を用いて評価することになります〔参照第1章「総合失調症」(p.8)〕.統合失調症ではしばしば病識のない患者さんがいます.幻覚や妄想がなくなったのにどうして病気であったと気付かないのですか?陽性症状が消失することと病識が回復することは必ずしも一致しないことはよくあることです.例えば幻聴は病状の回復後も本当の声だったと確信したままでいる一方で,幻聴やや妄想により苦しめられた二次的な苦悩の体験が消失したことには患者さんは気付いています.病識以外にも拒薬に至った原因について確認する必要があると思います.副作用などはなかったのでしょうか?その通りですね.とくに外来患者さんでは対応可能な軽い副作用でも薬をやめてしまうことがあり,服薬の確認が困難で重要な問題だと思います.アドヒアランスを改善するには副作用についても適切に患者さんに説明し,その対処法について共に考えていくことが大切です.副作用を伝えることで,より不安が増すという心配はあると思いますが,何も伝えないことの弊害のほうが大きいと考えます.この情報化社会では様々な情報を患者さん自身が入手することが可能で,私達はそれを整理して伝える必要があります.私たちが心がけていることは,とくに病識のない患者さんではまず確実に薬を服用してもらえることを念頭に入れて副作用情報の説明をしていることです.被害PhDr2 統合失調症でみられる「病識」とは何か?通院後自宅では「自分は病気ではない」といい服薬を拒み,外来通院も母親が薬を取りにくるだけとなった.同年6月,自宅で夜間大声を発して興奮するようになり,同月医療保護入院となった.約5ヵ月間入院し幻聴や被害妄想は消失したが,「自分が病気である」といういわゆる病識までは回復しなかった.退院時処方はRp.1の通りであった.?ジプレキサ(オランザピン)錠(10mg) 1回1錠 1日1回 夕食後?ジプレキサ(オランザピン)錠(5mg) 1回1錠 1日1回 夕食後Rp. 1経1過PhDrPhDrPhDr