ブックタイトル図解 薬害・副作用学 改訂2版

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概要

図解 薬害・副作用学 改訂2版

411 薬害の歴史的変遷2. 事件の経緯(表1-10) イレッサR は,発売前からマスコミによって夢の新薬と報じられ,医療現場では副作用が少なく延命効果が高い薬と期待されていた.国内ではイレッサR は2002 年7 月,世界で初めて申請から約半年で手術不能または再発非小細胞肺がんの薬として迅速制度のもと,その第一号として承認された.しかし,承認からわずか3ヵ月で死亡者数は57 人,半年で間質性肺炎による死亡者数は180 人に上った.2002 年10月15 日,厚生労働省は製薬企業に対し,添付文書の改訂と緊急安全性情報を出すよう指示した(図1-12).2004 年に患者・遺族らは国と製薬企業を相手取り訴訟を起こしたが,2013 年4 月の最高裁の判決では,原告側の敗訴が確定した.判決では「急速に悪化する間質性肺炎は,承認・販売期間で予見できなかった」とし,当初の添表1-10 イレッサR 事件の経緯年月日事項2002 年7 月厚生労働省が世界で初めてイレッサR を承認2002 年10 月15 日副作用で13 人の死亡例報告.厚生労働省がアストラゼネカ社に添付文書の改訂と緊急安全性情報を出すよう指示2003 年5 月5 日米国FDA,イレッサR を承認2004 年7 月15 日遺族が大阪地裁に,同年11 月に東京で提訴2005 年6 月17 日米国FDA,新規患者への投与を原則禁止2009 年7 月1 日欧州が条件つきで販売承認2011 年2 月1 日米国アストラゼネカ社は,イレッサR の承認申請を9 月30 日まで有効な迅速承認新薬申請をもって取り下げると発表2013 年4 月12 日最高裁判決.原告(遺族)側の全面敗訴図1-12  イレッサR による急性肺障害,間質性肺炎に関する緊急安全性情報