ブックタイトル日本プライマリ・ケア連合学会 薬剤師研修ハンドブック 基礎編
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日本プライマリ・ケア連合学会 薬剤師研修ハンドブック 基礎編
142・ 併存する身体症状(不眠,倦怠感など)が前面に出ており,精神症状を最初から訴える患者はほとんどいない・ 大部分の患者は,自分が精神疾患に罹患しているとは思っていない・ 精神障害の診断基準を十分に満たさない(閾値下精神障害)患者が多い・ あいまいな病名(自律神経失調症など)のままで,適切な診断や治療がなされることなく,漫然と放置されているケースが多数ある・ 内科的な慢性疾患(糖尿病,心血管障害など)と精神疾患(うつ病など)が併発・共存する頻度は非常に高い 薬剤師が遭遇する精神疾患も,精神症状よりも不眠や倦怠感といった身体の軽微な不調を訴えてやってくることがほとんどだと考えてよい1).MUSとは何か? 「なんて訴えの多い患者なんだ.忙しいのに困ったなぁ……」 身体各所の漠然とした不調を,次から次へと訴え続ける患者や客に遭遇して,長引く応対時間にいらだつという経験は,臨床に携わる薬剤師であれば誰にでもあるだろう. さらに,このような患者では,多彩な訴えの一つひとつに対して,問診,診察,臨床検査, プライマリ・ケアの外来を訪れる患者の30 ~ 40%は,身体的疾患だけではなく,精神科的疾患に関連した問題をもっている.さらに,薬剤師が地域や社会で活動する際にも「こころの問題」へのケアは重要性を増しており,自殺予防,アルコール依存,緩和医療,慢性疾患管理,思春期の問題行動,老年医学などの重要な問題群を扱うには,精神科的な対応能力が不可欠である. メンタルヘルスに関する特別な訓練を受けたことがない薬剤師は,精神科的な評価や対応を行うことに対する怖れや偏見(スティグマ)を根強くもっているが,プライマリ・ケア領域での精神疾患の特徴を理解した上で,勇気をもって実践的な「こころの診かた(心療)」を学んでほしい. そこで,ここでは薬剤師が日常業務のなかで遭遇する,一見ありふれた不定愁訴のなかに潜んでいる精神疾患を見落とさないようにするために, 有用な教育プログラムであるPIPC(Psychiatry In Primary Care)と,その中核をなす診断ツールとしてのMAPSOシステムを紹介するとともに,具体的な使い方について概説したい.プライマリ・ケア領域で遭遇する精神疾患の特徴 プライマリ・ケアの現場で遭遇する精神疾患には,以下に示すような特徴がある.メンタルヘルスケアにおける2 薬剤師の役割