ブックタイトル日本プライマリ・ケア連合学会 薬剤師研修ハンドブック 基礎編
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日本プライマリ・ケア連合学会 薬剤師研修ハンドブック 基礎編
第4 章 薬剤師の視点で行うトリアージ&アクション99い意識障害である4 ~ 6). DKAはクスマウル呼吸(Kussmaul’s respiration:異常に深い呼吸が規則正しく連続)とケトン臭が特徴的であり,注意深く患者を観察すれば疑える可能性がある.ときに激しい腹痛を認め,急性腹症として扱われることがある. HHS は著明な高血糖,浸透圧利尿に基づく高度の脱水,高血糖と脱水に基づく高浸透圧血症を呈する.脱水の程度はDKAよりも高度であり,ケトーシスの程度は軽度にとどまることが多い.インスリン分泌が保たれている2 型糖尿病患者が急性感染症,脳血管障害,心血管障害,手術,高カロリー輸液,利尿薬やステロイドホルモンの投与で高血糖をきたした場合に発症しやすい.高齢者に多く,意識障害と多飲,多尿,体重減少,倦怠感が特徴的である.一般に血圧は低下し,脈は速くなり,皮膚と口腔粘膜の乾燥が認められる.低血糖と同様に片麻痺,一側性の腱反射亢進,病的反射などの巣症状を認めることがある.DKAが急速に発症するのとは対照的に,HHS は発症まで数日の時間を要することが多い.意識障害の評価 意識障害の程度はGlasgow Coma Scale(GCS)(表3),またはJapan Coma Scale(JCS)(表4)3異常があれば直ちに一次救命処置(Basic LifeSupport;BLS)を開始する.BLSの詳細はJRCガイドライン http : //jrc.umin.ac.jp/pdf/BLS0615_c.pdf を参照されたい.直ちに主治医と連絡をとり,救急搬送を考慮する.同時にバイタルサインを数値化し,緊急度を評価する.バイタルサインは意識障害の鑑別にきわめて有用とされている3).脳血管障害が存在する陽性尤度比は,収縮期血圧(mmHg)が160 ~ 169 で4.31,170~179 で6.09,180 以上で26.43 と報告されている3).脳血管障害の急性期は血圧が上昇することが多く,ショックでは血圧が低下する.脳血管障害もショックも緊急度は高く,主治医と連携して直ちに救急搬送を行う.糖尿病による意識障害 在宅の症例では病歴と薬歴が事前にわかっていることが多く,糖尿病の病歴やインスリンなどの処方歴があれば必ず血糖値を測定する.低血糖は緊急度が高いため,医師と連携してブドウ糖を補給する.低血糖でも眼球偏位や片麻痺がみられることに留意する. 1 型糖尿病患者の糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis;DKA),2 型糖尿病患者の高血糖高浸透圧症候群(hyperosmolarhyperglycemic syndrome;HHS)も緊急度の高2表2 意識障害の鑑別疾患(AIUEO TIPS)A :alcoholism 急性アルコール中毒I :insulin インスリン(低血糖・高血糖)U :uremia 尿毒症E : epilepsy,encephalopathy,electrolyte,endocrineてんかん,脳症,電解質異常,内分泌疾患O :overdose,oxygen,opiate 薬物中毒,低酸素血症,麻薬T :trauma,temperature,tumor 外傷,体温異常,脳腫瘍I :infection 脳炎,髄膜炎P :psychiatric,porphyria 精神疾患,ポルフィリアS :shock,syncope,stroke,SAH ショック,失神,脳卒中,くも膜下出血