ブックタイトル日本プライマリ・ケア連合学会 薬剤師研修ハンドブック 基礎編

ページ
4/12

このページは 日本プライマリ・ケア連合学会 薬剤師研修ハンドブック 基礎編 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

日本プライマリ・ケア連合学会 薬剤師研修ハンドブック 基礎編

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

日本プライマリ・ケア連合学会 薬剤師研修ハンドブック 基礎編

98ず,もし起きていれば脳ヘルニアによる両側大脳・視床機能の障害を疑う必要がある2).ARASは脳幹,両側大脳,視床の病変だけではなく,低血糖や低血圧,電解質異常,ショック,薬物中毒などの全身性疾患,代謝性疾患でも障害される. したがって,意識障害をみたら両側大脳皮質,脳幹の障害,全身の代謝性疾患のいずれかを考える. 表2 に意識障害の鑑別疾患を示す.“AIUEO TIPS”を唱えながら鑑別すると見落としが少ない. 意識障害をきたす疾患は緊急度・重症度が高く,常に迅速な対応が求められる.ステージⅠ:意識障害のトリアージ&アクション意識障害患者への病院前対応 意識障害の患者を発見したら,まずA(Appearance:意識レベル,見た目の緊急性),B(Breathing:呼吸),C(Circulation:循環)をチェックする.1ポイント・ ABCチェック→一次救命処置とバイタルサインの数値化→意識障害の評価,の順に行う・ 意識障害の原因は緊急度・重症度の高い疾患が多く,救急搬送が原則である・ 意識障害は両側大脳皮質,脳幹の障害,全身性疾患のいずれかによって生じる意識障害とは 意識は「清明度」と「広がり」と「質的」の三要素で構成される.意識障害は一般に「清明度」の低下を指すが,「広がり」の低下(意識狭窄)である催眠,昏睡,半昏睡,昏迷,失神,「質的」の変化(意識変容)であるせん妄,もうろうも意識障害である.意識障害のメカニズム 意識の中枢は上行性網様体賦活系(ascendingreticular activating system;ARAS)である.ARASは脳幹被蓋,橋と中脳に広がり1),さらに両側大脳皮質へと伸びている.両側の大脳あるいは視床の病変で意識障害は生じる(表1).片側の中大脳動脈領域の脳梗塞では意識障害は起こら在宅の意識障害を見極める表1 意識障害をきたす疾患の病変部位① 両側大脳皮質・視床の障害脳梗塞+脳ヘルニア,くも膜下出血,脳挫傷など② 脳幹の障害脳幹出血,脳幹梗塞など③ 全身の代謝障害低血糖,電解質異常,ショックなど(文献2)より一部改変して引用)5