ブックタイトル日本プライマリ・ケア連合学会 薬剤師研修ハンドブック 基礎編
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日本プライマリ・ケア連合学会 薬剤師研修ハンドブック 基礎編
第9 章 地域活動213類できる.抑制系薬物にはあへん類,有機溶剤,大麻,睡眠薬,抗不安薬,アルコールなどが入る.また,興奮系薬物としては覚せい剤,コカイン,LSDなどが代表的な薬物である.覚せい剤(アンフェタミン,メタンフェタミン) 覚せい剤は薬物関連疾患や検挙人数からみて,日本で一番多く乱用されていると思われる薬物である.俗称として「エス」「氷」「スピード」「アイス」「シャブ」「クリスタル」などと呼ばれている. メタンフェタミンは,第2 次大戦中には軍需工場などで工員の生産効率向上のために使用されていたり,特攻隊が出撃時や前夜に士気高揚のために使用したという逸話もある.戦後は薬局でも普通に売られ,1949 年に劇薬指定されるまでは,居酒屋などでも「ヒロポンR」(メタンフェタミン塩酸塩)を置いていたというほどヒロポン中毒が蔓延していた. 覚せい剤は,使用時の高揚感,興奮など快感が強いこと,また短期間で依存症になりやすい薬物で慢性化しやすい薬物である.特に中断時には妄想(多くは被害的),幻覚(幻視,幻聴,幻臭など)などの精神病的障害が現れることが多く,抑うつ状態,イライラ,焦燥感が出る.また,身体的には血圧上昇,瞳孔散大,頻脈,1ころから,2002 年度から実施している学習指導要領において,新たに小学校の教科「体育」においても薬物乱用防止に関する指導を行うことが明記されている.この教育現場にも,医療関係者などの専門家の指導介入が必須であろう. 若年者の乱用を根絶するのは,容易なことではない.非現実に対する興味だけでなく,他の非行と同様,その子の生活環境によって薬物乱用に走ってしまうことが考えられる.生活の根本である環境の整備をいかにできるかが重要である. また,近年ではOTC医薬品や医療用医薬品での依存症も問題になっている.特に向精神薬では自殺との関連を考えると軽視できない問題であり,医療人全体で使用を考えていく必要がある.依存の問題 薬物の乱用で最も大きな問題は,「依存形成」である.精神依存ではコカインが最も強く,身体依存はヘロインが最も強いといわれている(表1).乱用されている薬物 乱用されている薬物には大きく分けると,脳に対する作用で抑制系薬物と興奮系薬物とに分乱用薬物精神依存身体依存中枢作用主な症状覚せい剤+++ - 興奮高揚感,妄想,幻覚MDMA +++ - 興奮妄想,幻覚,陶酔感コカイン+++ - 興奮妄想,幻覚,陶酔感ヘロイン・モルヒネ+++ +++ 抑制陶酔感,呼吸抑制あへん+++ +++ 抑制陶酔感,呼吸抑制大 麻+++ ± 抑制感情不安定,妄想,幻覚,陶酔感アルコール++ +++ 抑制酩酊有機溶剤+ - 抑制幻覚,妄想,認知障害表1 乱用薬物の依存形成