精神科臨床薬学 page 8/12
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精神科臨床薬学
1373 心因性精神障害容体拮抗薬(プロプラノロール,ピンドロール)などが抗不安薬として使用されることもある.抗不安薬の効果は,抗不安作用,イライラや焦燥感の改善,催眠作用,抗けいれん作用,筋弛緩作用など多岐に渡り,神経症や心身症をはじめさまざまな精神科疾患に使用されている.特にベンゾジアゼピン系薬物は筋弛緩作用が強いことから,整形外科領域においても使用されることがある.また,内科領域においても高血圧症や狭心症などにも使用される.バルビツール酸やメプロバメートに比べ依存性も少なく安全であるといわれているが,常用量での依存も生じることが報告されており,慎重な使用法が求められている.【臨床薬理】ベンゾジアゼピン系抗不安薬は情動と関係する大脳辺縁系,とくに,扁桃体の中心核,視床下部の乳頭体に選択的抑制作用をもち,そこに分布するベンゾジアゼピン受容体〔γ-アミノ酪酸(GABA)結合部位とC?チャネルが連動している〕に結合して抗不安,抗痙攣,筋弛緩,鎮静,催眠作用,自律神経調節作用などの主な薬理作用を示す.臨床的には,意識や高次の精神活動に影響を及ぼすことなく,不安,緊張などの情動異常を改善すβ ββα ααγ γGABA[立体構造] [縦断面図]GABA結合部位BZCl-BZ受容体Clチャネル錐体神経の膜細胞BB酸受容体痙攣惹起薬全身麻酔薬エチルアルコール受容体GABA神経大脳辺縁系には,脳内の抑制性神経伝達物質であるGABAの受容体(GABAA受容体)が存在する.ベンゾジアゼピン(BZ)系薬剤は,GABAA受容体の一部(BZ受容体)に結合し,GABAA受容体の働きを強めることで,抗不安作用や鎮静・催眠作用をもたらす.BB酸:バルビツール酸図2-16 抗不安薬・睡眠薬の作用機序