ブックタイトルファーマシューティカルケアのための医療コミュニケーション

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ファーマシューティカルケアのための医療コミュニケーション

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ファーマシューティカルケアのための医療コミュニケーション

19.救急・災害医療でのコミュニケーション247れる.この場合,会話が可能な患者が多く,喋ることができなくとも付き添いがいるので,コミュニケーションをとることは比較的容易である. ②二次救急:入院治療や緊急手術が必要な患者を受け入れる施設である. ③三次救急:二次救急まででは対応しきれない一刻を争う生命の危機のある患者を受け入れる施設である. 二次・三次救急の患者では会話が困難であり,患者本人からの情報収集が困難である場合が多いが,一刻を争う状況では,最低限の倫理的配慮をしたうえで,救急隊員から引き継いだ所持品から診察券や家族,職場など連絡がとれる方法を見出す.中高齢者であれば,服薬治療中であることも多く,ハイリスク薬を服用中であれば,その薬剤を特定しなければならない場合もしばしばみられる.例えば,心疾患の既往があり,抗凝血療法中の患者が外出血や内出血を認める場合は,その情報共有が遅れることにより,病院搬送時には意識がクリアであっても数分後にはショック状態に陥ることもあり得る.このように,高次救急施設ではそれぞれの職能を発揮することで,相互にコミュニケーションを取りながら人命を救助することができる. さらに蘇生処置,救命処置を行う現場では薬物投与や輸液の持続投与がなされる.薬剤師として,有効に安全にこれら薬剤を使用してもらうために投与のための準備もすべきである.使用薬剤を看護師とともにダブルチェックを行うこと,さらに何時何分に何筒目のアンプルを使用したかを記録する.これらの行為は緊迫した空気の中でコミュニケーションとして救急チームのなかで伝わる. 薬剤師として急性期患者に関わる機会は病院薬剤師だけとは限らない.最近では薬局薬剤師が在宅療養支援を行う施設が増えており,在宅患者を訪問した際に患者の急変に遭遇する場面も珍しくない.仮にあなたがそのような場面で訪問し,家人に様子を見てほしいと言われたら,どのように行動し,伝達すべきか,常にシミュレーションしておく必要がある. 急変患者のほとんどは,心停止,呼吸不全,脳疾患,ショック症状である.薬剤師でも急変患者を目の前にした場合,できること,役に立つことを以下に列挙する.ここで注意したいこととして,薬剤師は医療者として急変し得る患者の傍に居合わせる可能性が高いバイスタンダー(発見者)という立場で以下の行為を人命救助の目的で行う義務があると理解してほしい.救命のABC 目の前にいる患者の様子がいつもと違う場合,「救命のABC」を思い浮かべてほしい.A:Airway(気道の確保,呼吸ができる状態にあるか)B:Breathing(呼吸回数に異常はないか)C:Circulation(循環に異常はないか,脈拍・血圧など)