ブックタイトルファーマシューティカルケアのための医療コミュニケーション
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ファーマシューティカルケアのための医療コミュニケーション
臨床編Ⅲ.他職種とのコミュニケーション246救急医療でのコミュニケーション 救急医療における薬剤師の最大の役割は患者の薬物療法に関わることである.本来,患者が搬送された時点から薬剤師が病歴や服薬歴を情報収集し,処置にあたる医師へ情報提供するのが理想であるが,多くの医療施設では救急外来に薬剤師が常駐しているケースは少ないのが現状である. 情報が錯綜する救急現場では,傷病者やその家族,あるいは目撃者との良好なコミュニケーションを図ることは難しいケースが多い.なぜなら,生命を脅かす緊急事態において,患者本人は意識がないこと,あるいは興奮や動揺をしている場合がほとんどであり,通常の精神状態ではないことから会話が困難であるからである.すなわち,コミュニケーションがとれない患者の情報を,いかに短時間で収集し,救急チーム内でその情報を共有するかがカギとなる. 緊急受診患者を受け入れる救急指定病院での対応は次のように分けられる. ①初期(一次)救急:入院するまでもなく外来診療のみで対応し得る患者を受け入1臨床編Ⅲ.他職種とのコミュニケーション救急・災害医療でのコミュニケーションK E Y W O R D 救命のABC,JCS,GCS,Logistics,CSCATTT,METHANE緊急時に第一に確認し伝えるべき医療情報 救急医療と災害医療は似て非なるものと認識されている.どちらも突然発生した傷病者(患者)に対して緊急の処置を施す医療であるところは共通である.大きく異なるのは医療の質といわれている.まず,救急医療は平時における通常の医療であり,時間を問わず救急指定を受けている病院で緊急性の高い疾患や事故による怪我に対して提供する医療である.すなわち,いかなる疾患や外傷患者が来院しても対応し得る人的資源(スタッフ)や物的資源(医薬品や医療資器材)は備えられている. 一方,災害医療とは不特定多数の傷病者が局所的または広域的に発生し,通常の救急医療では応需が困難な状態に陥る状態のことをいう.いずれの場合も傷病者が求める救命処置は同様であるが,平時から災害医療への準備が万全である施設は存在しない.この場合,医療者は平常時モードから災害モードへの速やかな切り替えを心がける必要がある. 通常,医療現場におけるコミュニケーションが大切であることは周知の事実であるが,救急医療・災害医療ではコミュニケーションエラーによって一刻を争う生命の危機を一瞬にして取り返しのつかない状況を招く可能性が高いことが予測できる.本項では,救急医療と災害医療における重要なコミュニケーションについて,それぞれの特徴から解説する.19