ブックタイトルファーマシューティカルケアのための医療コミュニケーション

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ファーマシューティカルケアのための医療コミュニケーション

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ファーマシューティカルケアのための医療コミュニケーション

13.高齢者201高齢期の心身の特徴2 )人格の老化3) ①加齢に伴い人格も変化し「頑固で融通が利かなくなる」,「猜疑心が強くなる」等が,かつては高齢者の人格的特徴とされてきた.現在ではむしろ円熟に向かって発達していくとする生涯発達理論が中心となっている.脳の発達や働きは20代をピークに低下していくが,豊富な経験や知識にもとづいた判断力や思考力,あるいは統率力といった高度な知能は「結晶性知能」と呼ばれ,老いても維持されることが知られている. ②高齢者の人格的特徴とされてきた「頑固」「猜疑心」なども,自分がモノをしまい忘れたことを忘れ他人を疑うなど,振り返ってみれば認知機能の低下の時期と一致していることに気づく場合も多い.また,高齢者自身が変わったわけではないのに,周囲の捉え方の変化により「頑固」とみられる場合もある. ③高齢期には代謝機能が低下しており,薬の作用が強く出過ぎる,また複数の薬の副作用によって反応性が落ちていることも考えられる.高齢者の人格変容を一概に決めつける前に,こうした固有の背景にも留意する必要がある.喪失体験の影響 ①自信の喪失:高齢期においても持久力は比較的維持されるが,瞬発力の衰えは早1臨床編Ⅱ.患者理解高齢者高齢期の心身の特徴,喪失体験,高齢者との基本的接し方,認知症,MCI,中核症状とBPSD,認知症のケアK E Y W O R D高齢期, 認知症への理解は医療者の責務である わが国は,総人口が減少するなか,高齢化率が年々上昇するという世界で類を見ない高齢社会を迎えている.平成20年の推計入院患者数の67%が65歳以上の高齢者であり,75歳以上の後期高齢者も47%を占めている.外来患者においても,高齢者率は45%,そのうち23%が後期高齢者である(平成22年度わが国の保健統計).また,高齢化率の上昇とともに大きな問題となっているのが,認知症の急増である.65歳以上高齢者の推計15%が認知症で,認知症に将来かかる可能性のある軽度認知障害(MCI;Mild CognitiveImpairment )の推計が13%とされ,65歳の4人に1人が認知症とその予備群とされている1).高齢期,そして認知症への正しい知識と理解を持つことは,医療に携わるものにとっての責務といえるだろう.13