ブックタイトル処方Q&A 循環器疾患

ページ
5/10

このページは 処方Q&A 循環器疾患 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

処方Q&A 循環器疾患

31第1 章 循環器一般の基礎知識?この作用を通じて,冠動脈拡張作用,冠動脈スパズム抑制作用,全身血管抵抗軽減(後負荷軽減),全身の静脈を拡張させ,末梢を容量血管である静脈にプーリングさせ,心臓への静脈還流を減少させる作用(前負荷軽減)を発揮する.2 Ca拮抗薬Ca拮抗薬は,Ca2+の細胞内への流入を抑制し,細胞内Ca2+濃度を低下させることで冠動脈を弛緩させ,冠血流を増加させる.また,細動脈レベルの抵抗血管にも作用し,後負荷を軽減させ,降圧作用を発揮する.その結果,冠動脈血流は増加し,後負荷軽減効果により心臓仕事量を減少させる.3 K+チャネル開口薬K+チャネル開口薬は,K+チャネル開口作用により,過分極を引き起こすことで電位依存性Ca2+チャネルの活性を抑制し,Ca2+の細胞内流入を減少させ,血管平滑筋を弛緩する.また,K+チャネルは硝酸エステルとしてNOを遊離して,血管を拡張させる作用(NO様効果)がある.降圧薬(図3)降圧薬は,細動脈レベルの抵抗血管に作用し,血管を拡張することで降圧効果を発揮する.降圧薬の目的は,十分な降圧である.降圧薬として,ACE阻害薬,ARB,Ca拮抗薬,β遮断薬,α1遮断薬,そして利尿薬がある.どの降圧薬も結果的には,抵抗血管に作用し,全身血管抵抗を低下させることで降圧作用を持つ.1 ACE阻害薬レニン?アンジオテンシン(RA)系は,血圧や体液量,電解質の調整に重要な役割を果たしている.アンジオテンシノーゲンは,レニンによってアンジオテンシンⅠに変換され,アンジオテンシンⅠは,ACEによってアンジオテンシンⅡに変換される.アンジオテンシンⅡには非常に多彩な作用がある.非常に強力アンジオテンシノーゲンアンジオテンシンⅠACEカリクレインアンジオテンシンⅡキニノーゲンキニン不活化レニン?アンジオテンシン系の活性化血管拡張作用AT1受容体ACE阻害薬β1遮断薬β1受容体(心臓)α1遮断薬血管収縮ARBα1受容体(血管平滑筋)交感神経活性↑レニンCa2+Ca拮抗薬Ca2+チャネル図3 降圧薬の薬理作用 ACE:アンジオテンシン変換酵素 ARB:アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬