ブックタイトル処方Q&A 循環器疾患

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概要

処方Q&A 循環器疾患

30細胞内Na+濃度が上昇する.その結果,Na+/Ca2+交換ポンプによるCa2+排泄が減少し,結果的に細胞内Ca2+濃度が上昇する.2 β1刺激薬ドブタミンなどのカテコラミン(β1刺激薬)は,心臓のβ1受容体の刺激を介し,促進性Gタンパク(Gs)を経てアデニル酸シクラーゼを活性化する.アデニル酸シクラーゼはATPからcAMPを生成する.cAMPの蓄積はcAMP依存性タンパクキナーゼを活性化させ,L型Ca2+チャネルを開放させる.その結果,細胞内へCa2+流入が増加し,心収縮力が増強する.3 PDEⅢ阻害薬ホスホジエステラーゼ(PDE)は細胞内cAMPを分解する酵素である.PDEⅢ阻害薬は,PDEを阻害することで細胞内cAMP濃度を上昇させる.その結果,cAMP依存性タンパクキナーゼを活性化させ,L型Ca2+チャネルを開放させる.PDEⅢ阻害薬は,心臓および血管内皮細胞に取り込まれるため,PDEⅢ阻害薬は心機能促進作用と末梢血管拡張作用を発揮する.さらに,PDEⅢ阻害薬は収縮性タンパクCa2+感受性増強作用も有するとされている.狭心症治療薬(図2)血管拡張作用のある薬剤は,狭心症治療薬として使用可能である.狭心症治療薬は,冠動脈を拡張し,心筋への血液・酸素供給を増加させることができる.抵抗血管である細動脈レベルに作用し,全身血管抵抗を下げて血圧を低下させる.1 硝酸薬硝酸薬は,血管平滑筋細胞内で一酸化窒素(NO)を産生し,NOはグアニル酸シクラーゼを活性化させる.グアニル酸シクラーゼはGTPからcGMPを生成し,PDEⅢを介してcAMP濃度を上昇させることで筋弛緩として働く.また,cGMPそのものも筋弛緩作用を持ち,またPKGを介してCaチャネルを抑制し,Ca流入を阻害する.細胞内Ca上昇を抑制する作用で筋弛緩するわけである.-- -Ca2+K+過分極K+チャネルcAMPCa2+筋収縮筋弛緩ホスホジエステラーゼGTP cGMP5´-GUPPKG硝酸薬NOグアニル酸シクラーゼ活性化硝酸薬K+チャネル開口薬Ca拮抗薬図2 狭心症治療薬の薬理作用