ブックタイトル処方Q&A 糖尿病

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概要

処方Q&A 糖尿病

15649 速効型インスリン分泌促進薬とα-グルコシダーゼ阻害薬の使い分けについて教えてください.食後血糖管理の重要性速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)およびα-グルコシダーゼ阻害薬は,いずれも食後高血糖に対して用いられる薬剤です.日本人の2型糖尿病患者に多くみられる,食後のインスリン追加分泌の遷延・低下は,食後高血糖を引き起こします.食後高血糖は,糖尿病大血管障害の独立した危険因子であることが知られています.DECODE(diabetesepidemiology : collaborative analysis ofdiagnostic criteria in europe),DECODA試験により,心血管イベントとの関連性は,空腹時血糖よりも食後血糖の方が強いことが報告されています1, 2).したがって,食後高血糖の改善は,大血管障害の発症や進展の予防に重要と考えられています.速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)グリニド薬は,SU薬と同様に,インスリン分泌を促進する薬剤です.膵β細胞のATP感受性カリウム(KATP)チャネルに作用して,インスリン分泌を促進しますが,服用後,効果が発現するまでの時間が短く,また血中半減期は0.8~1.2時間,作用時間も3~4時間とSU薬と比較して短いのが特徴です.したがって,食後のインスリンの初期分泌低下や遅延を是正して,食後高血糖を改善させますが,空腹時血糖には影響しにくい点がSU薬と異なります.グリニド薬は1日3回食直前に内服しますが,食後に服用した場合には,最高血中濃度の低下,および最高血中濃度到達時間の遅延により十分な効果が得られなくなります.また,服用後15分程度で作用が発現するため,食前15分以上前に服用すると低血糖が生じやすくなります.その他,肝・腎障害がある場合には低血糖が起こりやすく注意が必要です.現在,国内で使用可能なグリニド薬は,ナテグリニド,ミチグリニド,レパグリニドの3種類です.レパグリニドは,他の2剤と比較して作用時間が長く,国内でレパグリニドとナテグリニドを比較した試験では,レパグリニドは空腹時血糖やHbA1cの改善効果に優れていました3).また,頸動脈IMT(内膜中膜複合体肥厚度)をマーカーに用いて動脈硬化への影響を検討した研究では,グリニド薬は頸動脈IMT進展を抑えることが報告され,その機序として食後高血糖の抑制の関与が示唆されています.速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)とα-グルコシダーゼ阻害薬の使い分けおよび併用療法グリニド薬,α-グルコシダーゼ阻害薬はともに,2型糖尿病の発症早期で空腹時血糖がそれほど高くなく,インスリン分泌も比較的保たれた食後高血糖の症例が良い適応と考えられます.グリニド薬は,SU薬と比較すると夜間や食前の低血糖を引き起こしにくく,体重増加も軽微であるのが特徴です.また,食事に合わせた内服ができることも利点と考えられます.α-グルコシダーゼ阻害薬は,小腸からの