ブックタイトル処方Q&A 糖尿病

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概要

処方Q&A 糖尿病

14表 インスリン治療の適応インスリン療法の絶対的適応①インスリン依存状態②高血糖性の昏睡(糖尿病ケトアシドーシス,高血糖高浸透圧症候群,乳酸アシドーシス)③重症の肝障害,腎障害を合併しているとき④重症感染症,外傷,中等度以上の外科手術(全身麻酔施行例など)のとき⑤糖尿病合併妊婦(妊娠糖尿病で,食事療法だけでは良好なコントロールが得られない場合も含む)⑥静脈栄養時の血糖コントロールインスリン療法の相対的適応① インスリン非依存状態の例でも,著名な高血糖(たとえば,空腹時血糖値250mg/dL以上,随時血糖値350mg/dL以上)を認める場合②経口薬療法では良好な血糖コントロールが得られない場合(SU薬の一次無効,二次無効など)③やせ型で栄養状態が低下している場合④ステロイド治療時に高血糖を認める場合⑤糖毒性を積極的に解除する場合(日本糖尿病学会編・著:糖尿病治療ガイド2014-2015,pp54-55,文光堂,2014より著者作成)インスリン療法の絶対的適応1 型糖尿病,インスリン依存型糖尿病(insulin-dependent diabetes mellitus;IDDM)は,インスリン投与なしではケトアシドーシスが進行するため,基本的にはインスリンが絶対的適応であることは言うまでもありません(表).ここで注意が必要なのは,経口血糖降下薬で血糖コントロールできていた患者にも,インスリンの絶対的適応に相当するような病態が進展してくる場合があることです.2型糖尿病患者の中には,もともとインスリン分泌能力が低く,肺炎などの感染症を契機に一気にインスリン依存状態になる患者がいます.また,緩徐進行1型糖尿病(slowlyprogressive IDDM;SPIDDM)と呼ばれる膵β細胞に対する自己抗体が陽性でありながら,初期には膵β細胞からのインスリン分泌能力が保たれており,一見2型糖尿病と区別がつかない患者がいます.SPIDDMでは徐々にインスリン分泌能力が低下し,インスリン依存状態へと進んでいきます.そうなると,いくら生活習慣を改善したり,経口血糖降下薬を増やしても,インスリンを使わない限りどうにもコントロールできなくなり,危険な昏睡へと進展する可能性もあります.そのようなケースは太っていても痩せていても関係なく起こり得るということをまず念頭においておく必要があります.インスリン療法の相対的適応2型糖尿病患者で経口血糖降下薬を使用しても目標とする血糖コントロールに到達できない場合,インスリン療法を検討する必要があります.過去に経口血糖降下薬の主たるものがSU薬であった時代には,SU薬を止めてインスリンに完全に切り替えるという発想で6 経口血糖降下薬からインスリンへの切り替えのタイミングを教えてください.