ブックタイトルアルゴリズムで考える 薬剤師の臨床判断

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概要

アルゴリズムで考える 薬剤師の臨床判断

来局者からの情報収集と疾患推測1. 頭痛と聞いたら思い浮かべること 頭痛患者の大部分(90%)は一次性頭痛(片頭痛,緊張型頭痛,群発頭痛)であり,二次性頭痛のなかでも,重大な頭蓋内病変は1%未満である.しかし,頻度が低くても,二次性頭痛の患者も来局し,そのなかには,緊急性が高い軽度のくも膜下出血,初期の髄膜炎などの患者もいる可能性があることを念頭におく必要がある.決して見逃してはいけない二次性頭痛を除外後に一次性頭痛を判断する習慣をつけたい.2. 患者から自覚所見を聴取する 初めての頭痛,いつもとは違う頭痛では,二次性頭痛さらには緊急受診を勧める必要のある重大な病変の可能性を思い浮かべるべきである.面談で得られた情報で,突発的な発症か,増悪しているか,これまでで最悪の頭痛か,の3つがすべて「いいえ」ならば,二次性頭痛でも脳血管障害,脳腫瘍,髄膜炎などの危険な頭痛はほぼ否定できる.二次性頭痛を鑑別する際は表3のSSNOOPも有用な手がかりであり,一つでもあれば二次性頭痛を疑う.3. 代表的疾患を見分ける特徴的な情報(LQQTSFA) 代表的疾患の頭痛の特徴をLQQTSFAに従って,表4のように整理する.疾患を絞り込む「トドメの質問・情報」にもなる各疾患の頭痛の特色を確認してほしい. 服薬歴の聴取も,薬物乱用頭痛,薬物誘発性の急性頭痛,抗コリン薬による急性緑内障発作の誘発などを推測する上で重要な情報となる.4. 他覚所見を収集する(身体所見,フィジカルアセスメントなど) 血圧測定により,高度な高血圧ならば高血圧脳症も疑う.体温を計り発熱を確認すれば,風邪,インフルエンザ,髄膜炎などの感染性疾患,項部硬直があれば髄膜炎,くも膜下出血の可能性がある.また,眼に濁りや充血があれば群発頭痛や緑内障を疑う.表3 重大な病変を含む二次性頭痛を鑑別する手がかり(SSNOOP)Systemic symptoms 全身性の症状:高熱,体重減少などSystemic disease 全身性疾患:悪性腫瘍,AIDSなどNeurologic symptoms 神経学的症状:麻痺,言葉が不明瞭,めまいなどOnset sudden 突然発症Onset after 40 years 40歳以降の発症Pattern change パターンの変化:頻度・持続時間・強さが増悪,性状の変化表4 代表的疾患の頭痛の特徴(LQQTSFA)症状の特徴疑われる疾患部位(Location)片側片頭痛(両側性もあり),群発頭痛,側頭動脈炎,三叉神経痛,急性緑内障発作両側緊張型頭痛,くも膜下出血,髄膜炎性状(Quality)程度(Quantity)拍動性(ズキズキ)片頭痛(日常生活に支障),群発頭痛,側頭動脈炎,高血圧脳症圧迫性(締め付ける) 緊張型頭痛(日常生活は可能)激痛くも膜下出血,髄膜炎,三叉神経痛(針を刺すような)時間と経過(Timing)状況(Setting)いつから突発性くも膜下出血,脳内出血急激群発頭痛,急性緑内障発作,三叉神経痛,動脈解離徐々に増強脳腫瘍,慢性硬膜下血腫反復的(慢性) 片頭痛,群発頭痛,緊張型頭痛きっかけ頭部打撲急性硬膜外血腫,慢性硬膜下血腫薬物薬物乱用頭痛,急性緑内障発作(抗コリン薬)寛解・増悪因子(Factor)咳,力み(頭蓋内圧亢進)で増悪脳腫瘍,髄膜炎運動,入浴,月経で増悪片頭痛同一姿勢で増悪,運動で軽減緊張型頭痛アルコールで増悪群発頭痛朝に悪化脳腫瘍,高血圧性脳症,うつ病随伴症状(Associatedmanifestation)悪心・嘔吐片頭痛,くも膜下出血,脳腫瘍,髄膜炎発熱髄膜炎,風邪症候群,インフルエンザなどの感染症肩・頸部のこり緊張型頭痛前兆(チカチカ) 片頭痛流涙・眼充血群発頭痛,急性緑内障発作麻痺・けいれん・しびれ脳出血,脳腫瘍34 352頭痛