ブックタイトルアルゴリズムで考える 薬剤師の臨床判断

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概要

アルゴリズムで考える 薬剤師の臨床判断

症例への対応 締め付けられるような後頭部痛がデスクワーク後に生じ,肩こりも伴うことから,典型的な緊張型頭痛の特徴を示す患者と推測された.軽症であり,頻度も1~2回/月程度でもあるので,アセトアミノフェンあるいはジクロフェナクなどのNSAIDsを単剤で含むOTC薬の頓用を推奨した.乱用を避けるため,用法・用量を十分に説明した.合わせて,同一姿勢を避け,適度に運動をするなどの生活指導を行った.19時過ぎに,頭痛薬を求めて来局.今日の午後から痛みが徐々に強まり,特に後頭部が締め付けられるように痛く,肩こりもあるが,生活ができないほどの痛みではないとのこと.頭痛は1年ほど前から月に1~2回あり,デスクワークをした夕方から痛くなることが多い.いつも風呂に入るなど休み,薬局で買った頭痛薬をのむと楽になるような気がするので,頭痛薬を買いたい.症例 1 30歳代 男性11時過ぎに,近隣の女性が風邪薬と頭痛薬を求めて来局した.3日前から風邪をひき,37℃台の熱と軽い咳が出てきたが様子をみていたとのこと.昨晩から頭痛が強くなり,今は頭全体がガンガンと我慢できないほど痛く,咳をしたり首を回すだけで痛みが強くなるので頭を動かせない.今朝は38.2℃で寒気があり,強い吐き気もする.風邪が悪化したと思うので薬で早く治したい.症例 2 30歳代 女性 迅速な対応が必要と考えられる症例2では,発熱,頭全体の激痛,髄膜刺激症状を疑わせる症状(吐き気,首を回すと頭痛が増強)から,髄膜炎が強く疑われる.また,風邪の後に発症したのでウイルス性髄膜炎の可能性がある.救急対応が必要なため緊急に受診を勧め,入院に備えて家族にも連絡をとるなどするとよい.(木内祐二/吉岡ゆうこ)文 献1) 日本頭痛学会編:慢性頭痛の診療ガイドライン.医学書院,2006.2) 柴田寿彦訳:マクギーの身体診断学 第2版.診断と治療社,2009.3) 徳田安春編:症候からの内科診療.羊土社,2011.4) 名尾良憲ほか:腫瘍症候からみた鑑別診断学 第2版.金芳堂,2012.5) 日本医師会学術企画委員会編:症状からアプローチするプライマリケア.医歯薬出版,2011.表5 症例から得られた情報情報症例1 症例2症状L:部位後頭部頭全体Q:性状締め付けられるガンガンQ:程度生活ができないほどではない我慢ができないほどT:時間と経過今日の午後から1年前から月に1~2回3日前から風邪,昨晩から増強S:状況F:寛解・増悪因子デスクワーク後,夕方に増強入浴や休息で軽減首を回したり咳で増強A:随伴症状肩こり高熱,寒気,吐き気38 392頭痛