ブックタイトルプロフェッショナルから学ぶ 医薬品副作用の対応50
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プロフェッショナルから学ぶ 医薬品副作用の対応50
第Ⅱ章 各論22加齢による腎機能低下が要因のジギタリス中毒に要注意!ジギタリス中毒は,過剰投与で起こる場合と患者側の変化や併用薬により発現する場合がある.薬物血中濃度モニタリングtherapeutic drug monitoring(TDM)により投与初期の過剰投与は減っていると思われるが,高齢者などで生理機能の自然な衰えにより腎機能低下が進んだ場合などはいつもと同じ量の薬物を服用していてもジギタリス中毒になる可能性がある.薬物の半減期は,t1/2=ln 2/kel=0.693/kel で求められる.ジゴキシンのような腎排泄型の薬物では腎機能低下により消失速度定数kel が小さくなるため,半減期は大きくなる.定常状態に達するには半減期の4 ~ 5 倍の時間がかかるため,腎機能低下などにより,半減期が大きくなると,そのぶん長い時間を要する(図Ⅱ-2,Ⅱ-3).副作用に対するプロフェッショナルAction!ジゴキシンはもともと半減期の長い薬物であり,投与を中止しても急激に血中濃度が低下することはないので,中毒が疑われたらまず中止を提案する.この症例では血清K値が正常であり,不整脈の発現もみられなかったため,ジゴキシン中止と循環器科受診の提案でよかったと考えられる.もし不整脈がある場合は,死に至る可能性があるため,早急に処置を試みる.図Ⅱ-2 ● 血清ジゴキシン濃度と死亡率1.2 ng/mL 以上では顕著に死亡率が増加する.(Rathore SS, et al.: Association of serum digoxin concentrationand outcomes in patients with heart failure.JAMA, 289(7): 871-878, 2003)図Ⅱ-3 ● 腎機能とジゴキシン使用中の死亡率GFR が50 mL/min/1.73 m2 未満では死亡率が高い.(Shlipak MG, et al.: Renal function, digoxin therapy, and heartfailure outcomes: evidence from the digoxin interventiongroup trial. J Am Soc N ephrol, 15(8): 2195-2203, 2004)1.00.90.80.70.60.50(ヵ月)生存率0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40 44 48プラセボSDC= 0.5 ~ 0.8 ng/mLSDC= 0.9 ~ 1.1 ng/mLSDC≧1.2 ng/mLログランク検定p<0.001ジゴキシン使用中の死亡率706050403020100<3021830~<4049740~<5096050~<601,48260~<701,35270~<801,04980~<9060090+n= 642e-GFR(mL/min/1.73 m2)