ブックタイトル食事調査マニュアル 改訂3版

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概要

食事調査マニュアル 改訂3版

A.食事記録法632)飲食したものすべての記録 次に重要であるのは,食べたもの・飲んだものを忘れずにすべて記録することである.記録から落ちやすいものは,三度の食事時間以外に食べたり飲んだりしたものや,家庭外で食べたり飲んだりしたものであるので,これらに対する注意をあらかじめ促すとよい.3)家族の協力について(世帯員全員について調査する場合) 国民健康・栄養調査方式の秤量記録調査では,世帯の中の調理担当者らが世帯員全員の食事を記録することになっている.調理担当者らといえども,記録者以外の世帯員が,家庭外で飲食したものをすべて正確に把握することは非常に困難なことである.可能ならば,記録者以外の世帯員が家庭外で飲食した場合には,世帯員各自が簡単な記録をする(メモをとる)よう協力を依頼するとよい.このような記録が得られない場合,その部分の飲食については実質上,24 時間思い出し法に近いものとなる.4)計量について秤量記録法による調査を行う場合,一連の作業の中で,調査対象者にとって最も負担感が大きい作業は,重さを計る作業である.特に調味料計量の負担感が大きい.食生活改善推進員を対象として,料理用のデジタルスケールを配布して,秤量記録法による食事調査を行った際の経験では,「調味料を計るのが大変」,「調味料を計っていたら,いつもと違う味付けになってしまった」という訴えが非常に多かった.調味料を計量したために,普段の食事と異なる量が記録されるのでは本末転倒である.また,たとえ普段の食事の調味料が正確に秤量された場合でも,煮魚の煮汁などが鍋・皿などに残った分の調味料を差し引かないと,正確な摂取量はわからない.これらの事情を考慮して,国民健康・栄養調査食品番号表(第Ⅲ編の資料1)では「調味料の割合・吸油率表」(153~156 頁)が示され,「調味料の重量は,調査対象者からの記録が不正確な場合や記入漏れが多いので,調査実施者は『調味料の割合・吸油率表』を参考に,個人差・地域の特性に配慮して調味料を推定する」こととされた.秤量記録法では「計れるものはすべて計る」ことを原則とするが,「計れないものについては無理をしない」という視点も調査の実際上必要と思われる. さらに,食品の重量を記録する際の注意事項として,対象者には,「グラムで記録するのは,実際に秤で重量を計った場合やパッケージに重量が記載されている場合に限る」よう説明するとよい.これは,一般の人が計量せずに推測で書いた「グラム」はあまり正確ではないことが多いためである.あたかも計量した値のように示された「グラム」が,実際には摂取した食品の重量とは大幅に異なるにもかかわらず,「グラム」で記入されているがために調査員のチェックをすり抜けてしまうというおそれがある.計量できない場合には「グラム」ではなく,「かさ」や「皿,椀」などを基準とした目安量を記録するように説明し,調査員がグラム重量