ブックタイトル食事調査マニュアル 改訂3版

ページ
5/12

このページは 食事調査マニュアル 改訂3版 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

食事調査マニュアル 改訂3版

Ⅰ.食事調査の基礎知識63)短 所 この方法,特に秤量記録法は対象者の選択と食事内容の把握において誤差が起きやすい.すなわち,摂取したすべての食物を計って記録するという煩雑な調査のため,複数日にわたって行う場合など,かなりのモチベーションを持った対象者に限定される.このような場合,集団の代表性は損なわれる. また,間接法(自記式)の調査対象として,子どもや高齢者には不向きである.食事内容についていえば,食事のつど計量して記録し,他人に報告をするという非日常性が入ることによって,食べる量が普段より増加・減少したり,あるいは見栄を張り,いつもより質のよい食品選択をすることが観察されている.これは習慣的な摂取量を把握する目的の場合には短所となる.しかし,調査目的が糖尿病や肥満の栄養教育のために行い,食習慣を認識させ変容させることにあるならば,この効果はある意味長所ともなり得る. 栄養素等摂取量の算出には計算ソフトウェアが用いられるが,食事記録により得られた情報のコード付けを行うため,調査対象者数が多いと,かなりの手間と人的費用が必要となる.4)妥当性 ほかの食事記録法に比べて,真の値に近いと考えられている.しかし,時に食事記録法による食物摂取量は,過少評価される場合がある.特に肥満者や女性の場合,過少に申告されることが観察されている.平 均複数日の調査により得られた習慣的な摂取量の分布1日摂取量の分布摂取不足 十分な摂取 摂取過剰図1-1.1 日調査と数日間調査における摂取量の分布