ブックタイトル食事調査マニュアル 改訂3版

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概要

食事調査マニュアル 改訂3版

1.食事調査法の概要5理,食後の残菜量などが測定される. 目安量記録法は,実際の摂取量の測定は行わず,料理単位,食品を数える通常の単位である目安量(portion size;例えば,魚・切り身1 切れなど)を記録していくもので,秤量記録法に比べて簡便である.しかし,各食品について目安量とそれに対応する重量を決めて標準化を図る必要がある.現実には料理ならびに食品の数・種類が多く,その摂取量にも大きなバラツキがあるため目安量記録法の誤差は大きい.一方,秤量記録法でも外食・惣菜などの利用が増え,すべての食物を計量することは困難なため,目安量記録法が混在している.重量,容量が明白である市販品,加工品などは秤量記録法と同じように正確な数値を得ることができる. 写真記録法は,対象者がデジタルカメラやカメラ機能付き携帯電話などにより,食事・間食の食前食後におけるすべての飲食物を撮影,訓練を受けた推定者が写真より料理名, 食品名ならびに摂取量を推定するものである.写真だけでは食品や摂取量の推定が難しいので,多くの場合,簡単なメモ(料理名,食品名,目安量)や摂取量を推定するための基準ツール(例えば,一定の長さのスケール)を置いて写真を撮影するように依頼している.しかし,推定にかかわる課題は目安量記録法と同じである. 食事記録法による栄養素等摂取量の算出は,食品成分表に基づいた栄養素等の算出ソフトウェアを用いてなされる.食品の同定・コード付けなど,実際はなかなか煩雑な調査方法である.その詳細については「第Ⅱ編 食事調査の実際」(59 ~116 頁)で解説しているので参照されたい.1)適 用 1 日あるいは短期間の記録法は集団の平均摂取量の推定に用いられる.その際の標準偏差は真の値より大きいので,解釈に注意を要する(図1-1,40~46 頁の「Ⅰ-6-1.食事の変動」参照).また,対象者の短期間の摂取状況を例として取り上げて行う栄養教育に利用される.比較的長い調査日数の記録法を用いると,個人の習慣的な摂取量を推定できる.表1-2 に示すように,個人内変動が最も小さいエネルギーでも,対象者の平均摂取量が「真の平均値」の20%誤差範囲に入るために必要な調査日数が3 日間であることを考慮すると,個人の習慣的な摂取量を評価する場合,少なくとも3 日以上は必要であろう.2)長 所 秤量記録法は,調査期間中にリアルタイムで食品と重量を記録するので記入漏れが少なく,対象者が以前食べた食品の目安量を思い出す方法より正確な情報が得られる.現行の食事調査法の中では最も真の値に近いものとされ,ほかの食事調査の精度を評価する際の基準(reference),すなわちゴールドスタンダード(goldstandard)として用いられる.