ブックタイトル高齢者保健福祉マニュアル
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高齢者保健福祉マニュアル
585-4-2 ICF導入の背景疾病構造の変化● 20世紀後半,人類の疾病構造(どんな病気にどれくらいかかっているか)に大きな変化が起きた● 疾病構造については,生命を脅かす主役が急性の感染症や重度な脳卒中から,中高年の生活習慣病に比重が移った● 背景には治療医学と予防医学のめざましい発展があり,それに相まって平均寿命の著しい延びがある● 医療の目的は「予防」と「治療」のみならず,「障害の克服」や健康状態の「維持・増進,ケア」を追加する必要性があった● 医療は「医学モデル」→「障害モデル」→「生活機能のモデル」の流れにそって変化してきている障害に対する考え方の変化■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■● 国際連合が1981年にかかげた国際障害者年の「完全参加と平等」という目標には,「社会適応のための援助・対策」「社会参加の支援」「参加を妨げない街づくり」「国民の啓蒙・啓発」「障害を発生させない予防対策」という障害や障害者に対するあらたな考え方が示された医学モデル● 従来,疾病は「病因etiology」→「病理pathology」→「発現manifestation」と理解されてきた● 原因が明らかな疾病に対して原因を取り除くことができる場合多くの命を救うことができる.一方で,慢性疾患などによる「障害」を抱えた人を十分に支えることはできない● 「障害」を支えるためには,医学モデルとは別のモデルが必要障害モデル● 1980年,WHOは国際障害分類(ICIDH)を発表● 医学モデルの「発現」を3相の障害のレベルで捉える考え方●機能障害impairmentsは疾患から直接生じる心理的,生理的,または解剖的な構造や機能の欠損あるいは異常.障害の一次レベル● 能力低下disabilitiesは,人間にとって普通とみなされる様式や範囲内で活動する能力の制限,あるいは能力の欠損している状態.障害の二次レベル● 社会的不利handicapsは,前二者によって個人にもたらされる不利益で,人としての本来の役割を果たすことへの制約ないしは妨げ.障害の三次レベルで,社会生活を送るうえでの不自由.性別や年齢,社会文化的要因に影響を受ける● 障害モデルにより,「障害者」の生活上の困難さ,生活活動の遂行や自立を理解しやすい.そのため,生活上の困難に対しても医療が十分な取り組みを行う考え方が広まった● 一方で「障害」を特別視し,ネガティブなイメージ(経済的損失や悲劇)を生み,正常性と区別しやすい● 「機能障害」や「能力低下」を原因として「社会的不利」を生じる連鎖をイメージするため,「機能障害」と「能力低下」に支援策を探る考え方を助長する● たとえば,「閉じこもりの生活が筋萎縮や心肺機能低下を起こした」状況,「施設入所により社会生活技能が低下してしまった」状況は理解されにくい国際障害者年の目標完全参加と平等①障害者が身体的にも精神的にも社会に適応することができるように援助すること②適切な援助,訓練,医療および指導を行うことにより,障害者が適切な仕事につき,社会生活に十分参加することができるようにすること③障害者が社会生活に実際に参加することができるよう,公共建築物や交通機関を利用しやすくするための調査研究プロジェクトを推進すること④障害者が経済的,社会的および政治的活動に参加する権利を有していることについて一般国民の理解を深めること⑤障害の発生予防対策およびリハビリテーション対策を推進すること疾病または変調内的状況障害モデルの相と考え方のキーワード機能障害能力低下社会的不利顕在化器官レベル客観化個人レベル社会化社会的レベル