ブックタイトル高齢者保健福祉マニュアル

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高齢者保健福祉マニュアル

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高齢者保健福祉マニュアル

老年症候群・老年病と疾病予防4474-6-3 高齢者の口腔ケア口腔ケアとは● 口腔ケアは,口腔介護,オーラルケア,マウスケア,オーラルヘルスケアなど,同義語というべきことばが多いばかりでなく,使う人によって,ニュアンスが異なる用語である●狭義の口腔ケアは,入院患者や要介護高齢者などにおいて,本人の口腔衛生に関して,加齢や病気・障害により,口腔・上肢などの機能障害,移動不自由による洗面行動不能などにより,自分自身で口腔内を清潔にすることができなくなった場合に行われる,介護者など他人による口腔清掃(義歯も含む)を指す(広義に用いて,歯科治療・処置,義歯の調製,口腔の機能訓練などを含める場合は,それぞれを,そのまま表現し,口腔ケアと区別して用いたほうが現行医療・介護制度との整合が取れる)口腔ケアの目的・目標● そもそも「清潔」はいかなる場合においても,人間の尊厳に対する基本である.セルフケアによる口腔の管理ができない人々の尊厳も守られるべきである● 口腔ケアで口腔内を清潔に保つことにより・う蝕(高齢者では根面う蝕)や歯周病など歯科疾患の予防のための歯垢(プラーク)除去・口臭予防・口腔常在菌が細菌性肺炎,誤嚥性肺炎,インフルエンザなど呼吸器の感染性疾患において直接,間接に原因細菌となるのを防ぐ・心内膜炎,心筋梗塞,脳梗塞,腎炎の関連菌としての口腔常在菌を極力減らすことなどを目標にしている歯周組織の健全さを口腔ケアの目安に● 肺炎予防を意識するにしても,口腔ケアの当面の目標は局所における歯周疾患の予防管理におくのが妥当である● 歯周組織が健全であれば,その口腔は清潔に保たれていると考えてよいからである● 歯周疾患は,歯肉の出血,歯石の付着,歯周ポケットの形成,深化,歯の脱落というプロセスをたどる歯肉の所見の有無,年齢階級別*歯石の沈着の項には,歯周ポケットが4mm以上の者は含まない(厚生労働省:平成23年歯科疾患実態調査)正しい口腔ケアを実現するために必要な関連する知識と技術● 口腔ケアが対象とする歯,舌,口腔粘膜の構造は複雑で細かい.しかも,高齢者は義歯,インプラントなどの人工的な構造物を使用していることが多い.これらの基本的な構造を理解している(解剖学,補綴学,インプラント学)● 歯や,粘膜,義歯などに付着したプラークは,本人が食べた食物と,それをもとに増殖した口腔内細菌の複合体である.時間的経過を考慮したプラーク形成過程を理解している(微生物学,栄養学)● 咀嚼・嚥下など口腔の運動機能との関連を理解している(運動生理学)● 歯科疾患の予防法(予防歯科学),歯科の治療法に精通し,現状を見極める方法を知っている(歯科臨床)● 入院患者の菌血症,敗血症のメカニズムを理解している(感染症学)● 口腔内を清潔にするための道具(器具),技術をもっている(歯科予防処置)● 対象者を介護するときの勘どころをつかんでいる(介護技術)