ブックタイトルナースのための微生物学 改訂6版

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概要

ナースのための微生物学 改訂6版

ワクチンとして使用されるものがあり,また薬剤に対し耐性になった変異株は治療に抵抗することになるなど,いろいろな影響を与えることになる.細菌はまた,バイオテクノロジーの領域においても重要な役割を果たしている.前述のプラスミドに異なる生物のDNA をつないでホルモンやインターフェロンあるいはワクチンなどの医薬品を作らせることなどは,その一つである. 真菌と原虫はどのような生物か下等真核生物細胞という構造を持たないウイルスを除いて,細胞からなる生物は原核生物(細菌)と真核生物とに分けられる(5 頁).真菌と原虫はともに真核生物であるが,両者とも構造が単細胞またはそれに近い簡単なものであるため,まとめて下等真核生物と呼ばれる.ヒトも真核生物であるから,大きく捉えれば真菌と原虫はヒトの仲間であり,細胞レベルでは類似点が多い.真菌に所属するよく知られた生物にはカビと酵母があるが,キノコも真菌の体の一部(生殖器)である.またアメーバやゾウリムシは原虫の例である.菌類は真菌とほぼ同じ意味と考えてよく,原虫は原生動物と同義である.a.真菌と原虫の違い単細胞またはそれに近い簡単な構造という共通点があるが,真菌の細胞には厚くて硬い細胞壁があって運動性がないのに対して,原虫の細胞にはこのような細胞壁がなく運動性があるものが多い.) 真菌の特徴真菌の細胞には酵母様細胞と菌糸という2 つの型がある.酵母様細胞は球形ないし長球形で核を1つ持つ.細菌と同じように2 分裂でふえる分裂酵母もあるが,大部分は出芽(親細胞から小さい芽が出て,次第に生長しながら根元でちぎれる)でふえる出芽酵母である(図2-8).菌糸は管状で,先端が伸びて生長するとともに,途中から枝が出て複雑に分岐し,からみ合って菌糸体となる(図2-9 ).菌糸がちぎれると断片から生長が始まる.菌糸には核が多数あるが,仕切りはないか,あっても孔があるので,多核の単細胞である.酵母様細胞も菌糸も細胞壁を持つが,細菌の細胞壁とは成分が異なる.真菌は種類によって,この2 つの型の一方または両方で増殖する.常に酵母12 ●微生物学総論