ブックタイトルナースのための微生物学 改訂6版

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概要

ナースのための微生物学 改訂6版

スピロヘータ群細長いらせん状で,特有の複雑な運動を行うグラム陰性細菌をスピロヘータと総称する.そのうちヒトの病原菌を含むのはボレリア,トレポネーマ,レプトスピラの3属である.細胞の構造に特徴があり,一般のグラム陰性菌とは異なる(図7-17).まず最外層として外という膜状のものが全体を包んでいる.また細胞壁はリポ多糖を含まない.その内側に軸糸またはペリプラスム鞭毛と呼ばれる線維状のものがあり,細胞の両端近くから1?数本出て細胞の表面に密着して巻きつきながら中央部にまで達している.一般細菌の鞭毛と同じく運動器官であるが,細胞表面に密着して外の内側におさまっている点が異なる.a.トレポネーマ属Treponema) 梅毒トレポネーマT. pallidum性感染症の一つである梅毒(五類感染症)の病原体である*.人工培地での培養がまだ成功していないが,微好気性(9頁の脚注参照)らしい.形態0.1?0.2×6?20 mm でらせんの回転の数は8?14 である(図7-18).グラム陰性であるが,普通の染色法では極めて染まりにくい.ギームザ染色法,鍍と銀ぎん法(銀を析出させる方法),暗視野法(図7-19),蛍光抗体法により観察する.培養ウサギの精巣に接種して増殖させる.抵抗性熱,乾燥,消毒薬などに極めて弱い.したがって,伝染も性交,スピロヘータ群● 125図7-15.カンピロバクタージェジュニの電子顕微鏡写真(藤本秀士博士提供)図7-16.ヘリコバクターピロリの電子顕微鏡写真(藤本秀士博士提供)