ブックタイトル母乳とくすり 改訂2版

ページ
11/12

このページは 母乳とくすり 改訂2版 の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

母乳とくすり 改訂2版

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

母乳とくすり 改訂2版

222循環器に作用するくすり! 本態性高血圧症(軽症~ 中等症),狭心症,頻脈性不整脈(洞性頻脈,期外収縮)に適応がある心臓選択性β遮断薬.効果・作用機序! ほかのくすりに変更する授乳中の注意! 顔色が悪くなったり,体温が下がる,心拍がゆっくりになった報告が1 例ある! 児の徐脈(脈がゆっくりにならないか)に注意すること児への影響と注意アテノロール アテノールR,アルプレノールR,テノーミンR 授 乳 要注意 ~ 禁忌! 降圧薬 ! β遮断薬(β1 選択性)その他! このくすりは弱塩基性(pKa=9.6)で,母乳中に蓄積する可能性がある.母乳中濃度は母親の血中濃度の2.9~3.6倍にも達する1).! 出産後,高血圧治療のためにこのくすりを50mg,12 時間毎に投与されていた母親の児(生後5 日目)でチアノーゼ,低体温,徐脈が起こったという報告もある2).この1 例を除いては,授乳によって児に影響が出たという報告はないが,このくすりは母乳中に蓄積する可能性があるので,徐脈などの症状に注意が必要である.! Anderson もアテノロールのように水溶性でタンパク結合率が低く,腎から排泄されるβ遮断薬は授乳中に用いるべきではないとしている3).! アセブトロール,アテノロール,ソタロールはタンパク結合率が低く,主に腎排泄であるため児に移行する量が多くなりうる.特に早産児では蓄積する可能性がある4).! M/P 比は比較的高いが,母乳中への移行する薬物量は少ない.50~ 100mg/ 日使用していた女性の児が母乳を介して摂取した量は0.13mg であった5).別の結果でも500mL 母乳をのむ児での摂取量は0.3mg6)と計算されている.書籍情報海 外DPL ヒトでのデータは少ないが,有害の可能性があるDDPLβ遮断薬としては,メトプロロール,プロプラノロール,オキシプレノロールがよい.アテノロールを使用しても授乳を中断する必要はないが,ほかのくすりに変更することMMM L3アテノロールの母乳中移行はプロペラノロールより10 倍多い可能性がある国内妊娠と授乳慎重─国内の情報妊娠と薬情報センター─ ─大分県△プロプラノロールに比べ乳汁中へ移行しやすい,特に新生児期は蓄積する可能性あり.より安全な選択肢を推奨関連情報母乳移行高濃度に移行するM/P 比1.5 ~ 6.8 吸収率約50%が消化管から吸収される分子量266.34 半減期6.1 時間クリアランス97.5 m Lタンパク結合率5%経口バイオアベイラビリティ約50% 小児への投与適応ありpKa 9.6 Vd 1.3L/kg〈文献〉1) White WB:Management of hypertension during lactation. Hypertension, 6:297-300, 1984.2) Schmimmel MS, et al:Toxic effects of atenolol consumed during breast feeding. J Pediatr, 114:476-478, 1989.3) Anderson PO:Drugs and breast milk. Pediatrics, 95:957, author reply 957-958, 1995.4) Schaefer C:Drugs During Pregnancy and Lactation. 2nd ed, pp681, Academic Press, 2007.5) Liedlholm H:Accumulation of atenolol and metoprolol in human breast milk. Eur J Clin Pharmacol, 20: 229-231, 1981.6) Thorley KJ:Leuel of the beta-blockers atenolol and propranolol in the breast milk of women treated for hypertension in pregnancy.Biopharm Drug Dispos, 4: 299-301, 1983.