ブックタイトル子どもが元気になる在宅ケア

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概要

子どもが元気になる在宅ケア

11 乳幼児期の関わりで大切にしていること能力1 原始反射は出現の時期や消失の時期がおおよそ決まっていて,ヒトが生まれたときにすでにもっている「刺激に対して驚く」「おっぱいを吸う」などのように,生き残るために必要な反射です.出現や消失がないと,その後の発達に影響を及ぼします. 運動機能は意思とは関係なく,原始反射によって動いたことが体験となり,前庭覚・固有受容覚・触覚がどんどん入力され,そのうち視覚や聴覚などの感覚もはっきりと感じ取って運動企画がなされていきます(聴覚や視覚からの感覚入力がなくてもヘレン・ケラーのように感覚は統合されていきます). 情緒は「快」「不快」「興奮・覚醒」から分化していきますが,髄鞘化が進む生後2 ~ 3 ヵ月頃になるとその情緒の一瞬一瞬は「動機」をもち,「これは何だろう?」などと考え,動き,その体験が「解釈」につながります.多くの体験を積むために自ら覚醒度を上げて,心の栄養になる感覚がたくさん入力されるように頑張っているようです.定頸後に足をついてぴょんぴょんするのも固有受容覚への入力を求めているのです.抱きしめると落ち着いたり,背中をトントンすると泣き止んだり,感覚がもっている覚醒と鎮静をうまく使い分けていくのです.この体験が記憶され,解釈につながります. 赤ちゃんは生きるためにすべてのことを周囲に依存しているように感じますが,決して受け身ではなく,積極的に周囲に働きかけて自ら育っていく強い力をもっています.これは生きるためのプログラムであり,誰もがもっているもので,病気や障害があっても同じです.人工呼吸器をつけていても,てんかん発作で治療を受けている最中でも,脳波がフラットだと診断されても,自ら育つ強い力をもっています.その育つ力を感じ取ることができると,子育てはとても楽しくなります.その育つ力を有効に使えるようにすること,それが何よりの早期療育であり家族支援であると考えています.3つの能力 乳児期の赤ちゃんをみていると,以下の3 つの能力をもっているようです.● 能力1:原始反射・感覚入力によって無意識に体験ができ,記憶していく能力.● 能力2:胎児期から始まり,生まれてからずっと続く運動・働き,胎内から外の世界に出て適応する能力.● 能力3:胎児期から練習していた動きを一時的に止めて再度始める能力(髄鞘化が進み,意図的に動機をもって動き出す).1 乳幼児期の関わりで大切にしていること成長と発達を促す関わりを知ろう1