みんなの消毒薬 page 2/12
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みんなの消毒薬
2 31 消毒薬の毒性Sec.Section 消毒薬の毒性1 1 高水準消毒薬 高水準消毒薬2)は化学的滅菌剤ともいわれ,基本的には芽胞を含めたすべての微生物を死滅させます.消毒効果とともに毒性も高いため,使用に際しては,十分な注意が必要な消毒薬です.a グルタラール(グルタルアルデヒド) タンパク質を凝固させ,生物機能全般に障害を与えます.蒸気は強い刺激性があるので,眼や鼻・のどに痛みや発赤などの障害を起こしたり,皮膚に付着すると炎症を起こすことがあります.また,器具に付着したタンパク質を凝固させるので,器具は予備洗浄をしてから,消毒液に浸漬してください.取扱いの注意 使用に際しては,換気に十分注意して,空気中のアルデヒド濃度が0.05 ppmを超えないようにします(作業基準)4).使用に際しては,ゴム手袋,マスク,ゴーグル,防水エプロンを必ず着用します.人体の消毒に使用してはいけません.また,消毒した器具は十分にすすぐことが重要です.残存したグルタラールで上記の毒性が生じたことがあります.炭素綱製器具(手術用マイクロピンセットなど)は24時間以上浸漬してはいけません.応急処置 誤って接触した場合は,ただちに水で十分に洗い流してください.誤飲した場合は,水や牛乳を与えてから胃洗浄を行い,専門医に相談してください.こぼれた場合には,モップなどで速やかに拭き取り,大量の水で掃除器具をすすぎます.大量の場合は,重曹や亜硫酸ナトリウムで中和後,拭き取ります.消毒薬は毒物,作用は無差別 消毒とは,存在している微生物を殺したり,破壊したりすることで微生物の数を減らす方法です1).したがって,消毒薬は生物を殺す毒物です.その作用は抗菌薬よりも無差別です.そのため,消毒力が強い消毒薬は,より強い毒性をもっています.毒性の種類 消毒薬は手指や皮膚だけでなく,医療器具や病室など環境の消毒にも日常的に使用されます.そのため,生体への急性の毒性だけでなく,汎用による手荒れ,器具の腐食や変色,臭いによる不快感,廃棄による環境の汚染など,さまざまな毒性があります.使用する消毒薬の毒性を理解することは,安全性だけでなく,環境に配慮した消毒薬の適正使用につながります.消毒薬の種類 Spauldingによる消毒水準の分類を利用して,表1-1に主な消毒薬の毒性を示します2, 3).