ブックタイトル本人の意思を尊重する意思決定支援

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概要

本人の意思を尊重する意思決定支援

2アドバンス・ケア・プランニングの関連用語と概念定義A 自分の人生そして人生の終焉を,自ら意思決定しながら,どのように生きるかは一人ひとりの大きな課題である.“最期までその人らしい最善の生”“良い死”を迎えるための核となる実践としてアドバンス・ケア・プランニングAdvance Care Planning(ACP)は発展してきた.ここでは,ACP およびその関連用語としてアドバンス・ディレクティブなどを紹介する.1)アドバンス・ケア・プランニングの定義a.諸外国の定義 ACP の定義はさまざまであり,一致した見解は提示されていない.ACP の先進地である英国National Health Service のガイドライン 1)では「個人およびそのケア提供者との間で行われる自発的な話し合いのプロセスであり,個人の希望を明確化することが重要で,その個人の気がかりや価値観,ケアのゴールを話し合いに含む」としている.また,一般住民に対して健康な段階から早期にACP を行うことを啓発しているカナダでは,国としてその骨子であるNational Framework を提示し,ACP は「成人が疾病などによって必要となった治療やケアの選択の意向と,その人自身のQOL に関わる信念や価値,希望について,家族など大切な人や医療者と話し合い対応するプロセス全体である」 2)としている.カナダをはじめオーストラリア,ハワイなどの国や地域で展開されているACP プログラムの基盤となっているのが,米国ウィスコンシン州ラクロスで開発されたRespecting Choice である.Respecting Choice ではACP は「将来の意思決定能力の低下に備えて,成人である個人が病状に応じた今後の医療について理解し,振り返り,大切な人や医療者と話しあうこと」とし「望む最期を迎えられるよう個人を支える社会づくり」をめざすプログラムとして1991 年以降20 年以上にわたり開発してきた.そのACP アプローチは,①健康な段階にある人,②疾患の悪化過程にある人,③予後1 年程度が予測される人,と対象を3 つのステップに分け,各々のステップに相応したACP アプローチとファシリテーターの育成を行っている 3, 4).米国,カナダなど諸外国においてもACP アプローチの対象は③予後1 年程度が予測される人が多く,その段階になってからACP を開始する場合も多いが,本来は健康な段階の人を対象に,早期から話し合うことが必要と考え,地域の住民を対象に普及活動を展開している.b.わが国の定義 近年,わが国でも本人の意思を尊重した医療の提供や最期の迎え方を考えることの重要性が認識されてきた.そのような中で本人の意思を尊重するための重要なアプローチ