ブックタイトル臨床漢方小児科学

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概要

臨床漢方小児科学

感冒, 気管支炎, 肺炎5 太陽病では,表に外邪が存在するため,邪を発散させる治療が基本である.正気に全く不足がなく強靱な人なら,瀉法に徹することになる.また,正気が衰える心配がある,あるいは正気の不足が明らかな場合には,その程度に応じて補気を追加する. 陽明病では,基本的に実の病態であるから瀉法が基本となる.邪が裏に侵入しているため,その邪を便とともに体外に追い出すことが多い.いわゆる瀉下法,下法である.上部消化管に邪があれば,嘔吐させる吐法も利用されるが,機会は比較的低い.邪が裏にあり,発熱も続くと津液が不足し,正気の消耗も出現するため,補気,補津液も必要となることがある. 少陽病では,邪が表でもなく裏ともいい切れない半表半裏にある.この場合には,邪を表から発散させることも,吐下により排出させることもできない.邪をうまく調整することになる.これを和法と呼ぶ. 陰病では,基本的に正気が不足している.補気が最も重要となる.当然外邪が裏にあるから,体内からなるべく早く排出させる工夫が必要となる.病態からアプローチする漢方薬の選択?基本処方 通常,感冒の初期にあたる太陽病では,葛根湯,麻黄湯,桂枝湯などが一般的に用いられる.実証には葛根湯,麻黄湯,虚証には桂枝湯が適応となる.虚証でも,気滞が兼ね備わるものには香蘇散が適応となる.桂麻各半湯は,本来外邪が当初旺盛であったが,軽微となってきているが軽快しない病態で用いられる.これは,桂枝湯では弱く,麻黄湯では急峻すぎるため,両剤が適さない場合である.病初期でありながら少陰病となる,直中の少陰の場合には,麻黄附子細辛湯を選択する.これは,裏寒虚かつ表寒虚の病態で,全身が冷え切っている状態である. 少陽病では,柴胡剤が主に用いられる.小柴胡湯は,その標準的処方といえる.少陽部の熱を冷ましつつ,補気を配慮している.大柴胡湯は,心下の鬱滞した熱を開通させる方剤で,補気を考慮していない.柴胡桂枝乾姜湯は,心下の清熱を行うとともに,津液循環の不調,それに伴う煩躁(気逆)を改善する方剤である. 麻杏甘石湯は,寒邪が表に侵入したが,それが熱化して肺に侵入した病態に用いられる.元太陽病(表寒証)であったが,表と半表半裏が熱化した変則的な病態である.五虎湯は,麻杏甘石湯より清熱,鎮咳,平喘作用を強化したものである.苓甘姜味辛夏仁湯は,麻黄で発散することが困難な血虚,気虚に対して用いられる. 川?茶調散は,寒邪,風邪により,疏泄機能が障害されて気が頭部で鬱滞することで生じる頭痛に適応がある. 陽明病に用いられる方剤として,白虎加人参湯と承気湯類が代表的である.高熱で津液が損傷された場合に,白虎加人参湯が投与される.承気湯類は,熱が腸胃に集中するものを瀉下により回復させる処方である.調胃承気湯が標準的とされる.大承気湯は,理気を強めることで瀉下作用を強化している. 麦門冬湯は,肺陰虚により虚熱を呈したものに適応される.補中益気湯は,主に感冒後の気虚に対して投与される.?応用追加処方 咽頭痛が強い場合には,桔梗石膏を併用する.桔梗湯を併用することもある.併用する方剤が多く,甘草の服用量が増大する場合には,含嗽とする. 膿性鼻汁を伴うなら,辛夷清肺湯を選択する. 香蘇散の適応で,さらに咳嗽も強い場合には,参蘇飲とする. 乳児の鼻閉には,麻黄湯となる. 桂枝湯証があり,さらに発汗過多であれば,桂枝加黄耆湯を選択する.また,桂枝湯証があり,さ