ブックタイトルわかる!つかえる!なおせる!消化管症候への漢方薬

ページ
10/12

このページは わかる!つかえる!なおせる!消化管症候への漢方薬 の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

わかる!つかえる!なおせる!消化管症候への漢方薬

64第2 章 漢方治療の実際漢方診療の実際漢方所見■ ①脈:沈弱.②舌:淡白色,やや胖はん大だい,歯痕あり,白はく膩じ 苔たい,舌下静脈怒張なし.③腹部:腹力中等度,心窩部から臍部にかけて圧痛あり,振水音あり,上腹部が冷えている.処方決定のポイント(治療目標)■ 本症例は「食後 30 分以内の腹痛,自分に合う食事法,食事のリズムを見つけることができずに気分も滅入ってしまうことから気滞を併発」し,そこから「脾胃の不調が増悪した状態」とも考えられる.また「気滞・気虚をもとに水滞が引き起こされた可能性」もあるため,四君子湯よりも六君子湯が適応すると判断した.■ 本方は,気虚による消化機能の低下により,胃内の水分(痰)が除かれず,常に満腹感があり空腹感を感じないものを治す.■ 本方は,消化性潰瘍の再発防止を目的に最も高い頻度で応用されている.治療経過■ 六君子湯を 1 日 3回投与.■ 1 週間後,食後の腹痛,倦怠感が少し改善した.■ 2 週間後,栄養士と相談して自分に合う食事法,食事のリズムが決まり,食欲もますます改善してきた.■ 4週間後,食後の腹痛,倦怠感,めまいが改善し,6ヵ月内服後,治療を終了.処方変更のヒント■ 改善が認められない場合には,下記のチェック項目を参考にして変方する.□ 体力は十分ある → 平胃散□ 体力はさほど弱くない  □ 尿量減少あり → 茯苓飲