ブックタイトル処方の選択肢プラスワン!高齢者のための漢方薬

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処方の選択肢プラスワン!高齢者のための漢方薬

34第2 章●領域・疾患別の漢方治療感冒・気管支炎? 一般的な治療と漢方治療との違い 通常,感冒の治療をする場合には,症状に応じて総合感冒薬,鎮痛解熱薬,抗炎症薬,抗ヒスタミン薬,鎮咳薬,去痰薬,抗菌薬,健胃薬などが処方されることが多いと思われる.これらの処方による治療は各々の症状に対する対症療法であり,患者の体力や感冒に対する抵抗力などはまったく考慮されていない.これは,気管支炎の治療をする場合にも当てはまる. 漢方医学では感冒を「陽病の感冒」と「陰病の感冒」といった,まったく異なった2 つのタイプに分けて考える. 体力が中程度以上の一般成人が感冒に罹患する場合,通常は脈は「浮ふ」(橈骨動脈に軽く指を触れるだけで触れる脈)であり,頭痛,項強(うなじがこわばること),悪寒,発熱などがみられ,氷嚢をあてることを欲する.これらの症状をもつものを「太陽病」と称する(? 14 ページ)ため,このタイプの感冒を「太陽病の感冒」という. 太陽病の感冒の治療をしなかったり,治療がうまくいかなかったりすると,脈は「沈ちん」(橈骨動脈を強く圧迫しないと触れない脈)にして「弦げん」(弓の弦を張ってこれに触れる感じの脈)となる.症状的には,悪寒と熱感が交互にみられ(往おう来らい寒かん熱ねつ),口苦(口の中がねばるような症状),咽乾(のどの乾燥感,口渇ではない),目眩(めまい)のような症状がみられ,舌の上に白?黄苔が認められ,腹診上は「胸きょう脇きょう苦く満まん」(? 20 ページ)が認められる.これらの症状をもつものを「少陽病」と称する(? 14 ページ)ため,このタイプの感冒1 内科系