ブックタイトル1ランクアップをめざす!がん疼痛治療

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1ランクアップをめざす!がん疼痛治療

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概要

1ランクアップをめざす!がん疼痛治療

132PartⅠ がん疼痛治療のコア3)薬物療法の実際 以降に述べる薬物療法を行うにあたっては,患者は肝腎機能がほぼ保たれており,栄養状態はがん悪液質とまではいえない程度で,内服可能であることを前提とする.抗不整脈薬?リドカイン塩酸塩9,10)製 剤特 徴・ 多源性の期外収縮(上室性・心室性),発作性頻拍症,心筋虚血に伴う不整脈などの重症不整脈の治療薬として,また,局所麻酔薬として,開発された.・ Na チャネルブロッカーの作用をもち,興奮性膜組織(神経細胞膜や筋細胞膜など)の過度な興奮を抑制する.これにより,保険適応外ではあるが,痙攣重積状態による疼痛(筋肉痛),神経障害性疼痛をはじめとする難治性がん疼痛の治療に経験的に用いられてきた.副作用・ 心刺激伝導系に抑制的に作用するため,徐脈性不整脈などの刺激伝導障害を悪化させる場合がある.・ アミド型局所麻酔薬に異常反応をきたした既往や家族歴のある場合は,アナフィラキシーショックを起こすことがあるため,使用できない.薬物療法のポイント・ キシロカインR(リドカイン塩酸塩)は抗不整脈薬・局所麻酔薬として開発されたが,以前よりその全身療法(点滴療法,持続皮下注入療法)がさまざまな疼痛疾患の治療に用いられてきた.神経障害性疼痛にも即効的な効果が期待できる.・ キシロカインR 静注用は元来,重症の心室性不整脈の治療薬であり,心臓の刺激伝導系に影響するので,投与開始前にまず,心電図を撮影して,徐脈性不整脈などの伝導障害がないことを確認する.次いで,成人で1A(100 mg)を生理食塩水の100 mL バッグに混入して30 分程度で点滴し,効果を予測する.神経障害性疼痛に悩む患者の8割以上で,点滴終了時(遅くとも点滴終了後1時間以内)には痛みの軽減を得る.オピオイドの鎮痛効果が弱く,オピオイド増量にも反応しにくい事例で,キシロカインR 点滴に反応するのであれば,(神経細胞膜のNa チャネルの異常による)神経障害性疼痛が主たる発痛メカニズムであると診断してよい.このような診断的治療法をドラッグチャレンジテストdrug challenge test (DCT)という(「がん疼痛の評価方法」p.14 参照).このテストで効果が認められれば,キシロカインR 持商品名剤 形規 格キシロカインR静注用2 % 注射100 mg/ 5 mL/ 管