ブックタイトル1ランクアップをめざす!がん疼痛治療

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1ランクアップをめざす!がん疼痛治療

242PartⅡ がん疼痛治療を支える関連領域のアプローチ がん患者では,せん妄を引き起こしやすく,肝腎機能低下,多剤併用,筋力低下に伴う転倒のリスク,内服困難例なども多いことから,病状により薬剤選択も異なってくる. 次に,これらを踏まえた具体的な薬物の使用法を紹介する〔不眠を伴うせん妄への介入については「せん妄」(p.255)を参照〕.●肝機能障害を有する場合,他に併用薬剤が多い場合 肝機能障害のある場合,またはCYP(シトクロムP450)を介する代謝の必要な薬剤が多数併用されている場合,CYP の競合などにより代謝が遷延し,効果に影響することがある.このようなことが予測される場合には,薬剤としてはロルメタゼパム (エバミールR,ロラメットR)0.5?1 mg が推奨されている.ロルメタゼパムはグルクロン酸抱合により代謝されるため,肝臓への影響が少なく他剤との拮抗作用にて代謝排泄が遅延する可能性が低い.他には抗不安薬であるロラゼパム (ワイパックスR)0.25 ?0.5 mg も同様の代謝経路を有するため,不安の強い不眠に対して使用できる.●転倒リスクが高い場合 高齢者の睡眠の特徴としては,睡眠は浅くなり,分断化され,朝早く目が覚めることなどがあげられる.そのため不眠を訴える患者も少なくなく,安易な睡眠薬処方がよく見受けられる.一方で若年者に比べ,病状進行による四肢近位筋を中心とした筋力低下がみられやすい.このような背景から転倒のリスクが高まることは容易に予想される. BZP 系睡眠薬は,基本的に筋弛緩効果を有しており,転倒のリスクが高まる可能性がある.したがってできるだけ筋弛緩作用の少ない薬剤,例えば入眠困難であればゾルピデム(マイスリーR)5 mg やゾピクロン(アモバンR)7.5 mg,エスゾピクロン(ルネスタR)1 mg などを使用する.またリズム障害を中心とした比較的程度の軽い不眠では,メラトニン受容体作動薬であるラメルテオン(ロゼレムR)4?8 mg も使用できる.ラメルテオンは,視交叉上核に豊富に存在するメラトニン受容体に結合し,体温を下げることで入眠を促進し,体内時計を同調させることでサーカディアンリズムを整え,睡眠リズムを正常に戻す作用があるとされる.メラトニン受容体以外には作用しないことから,BZP 系睡眠薬がもつような筋弛緩作用や依存性といった問題は生じず,比較的安全性が高い.実際の処方例・エバミールR 1 mg 0.5?1 錠 分1 :眠前・ワイパックスR 0.5 mg 1 錠 分1 :眠前実際の処方例・マイスリーR 5 mg 1 錠 分1 :眠前・ルネスタR 1 mg 1 錠 分1 :眠前・ロゼレムR 4 mg 1 錠 分1 :眠前