ブックタイトル症例に学ぶ がんの漢方サポート

ページ
8/12

このページは 症例に学ぶ がんの漢方サポート の電子ブックに掲載されている8ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

症例に学ぶ がんの漢方サポート

2 中国で4 千年以上前に誕生したとされる古代生薬医学は,3 世紀始めに『傷寒雑病論』(『傷寒論』+『金匱要略』)としてまとめられ,医学として完成した.その後中国ではさまざまな生薬処方(漢方)が考案されて,多くの医書が編纂された.中国の生薬医学は,飛鳥・天平時代から江戸時代まで長い年月をかけて,鑑真(正倉院薬物)や空海・最澄(『傷寒論』の写本を請来)らの僧侶,さらに多くの留学生によりわが国に移入された(表1). その後わが国では,受け容れた医学に対してさまざまな革新が加えられ,中国医学とは異なる日本独自の漢方医学が完成した.すなわち,室町時代までは中国医学の模倣であったが,江戸時代に第一の革新(腹診に基づく診断・治療法の開発),昭和時代に第二の革新(漢方エキス製剤による治療薬の標準化),そして平成時代に第三の革新(西洋医学との統合による新しい生薬医学の展開)が行われ,現在進行中である. 明治維新後,新政府は,わが国で医師となるために西洋医学七科(物理,化学,解剖,生理,病理,表1 漢方医学の歴史4000年前中国で生薬医学の萌芽後漢(3C) 『傷寒雑病論』(『傷寒論』+『金匱要略』)が完成奈良時代(8C) 中国医学の日本初来? 鑑真和上(正倉院薬物)平安時代(9-12C) 遣唐使:空海・最澄(『傷寒論』の写本を請来)室町時代(13-16C) 田代三喜,曲直瀬道三(中国医学紹介)?「後世方」江戸時代(17-19C)「腹診法」を復活し,新治療法を開発?「古方」西洋(オランダ)医学を移入(長崎出島)?「蘭方」1868年(明治初年)~西洋(ドイツ)医学を採用(軍陣医学)?「洋方」「漢方医」消滅? 西洋医学を学んだ少数医師が維持1941年(昭和16年)~『症候による漢方治療の実際』(大塚敬節ら)の出版以後「病名漢方」,「流れ図漢方」が普及1967年(昭和42年)~漢方エキス剤の開発& 薬価収載(? 現在148 処方)武見太郎,大塚敬節,津村重舎らの尽力1980年(昭和55年)~ 漢方の科学的研究が開始(基礎研究≫臨床研究)2001年(平成13年)~医学部教育のモデルコアカリキュラムに「和漢薬を概説できる」と記載2006年(平成18年)~がん研有明病院に「漢方サポート外来」開設本書の出版1 漢方医学の歴史・現状・将来癌治療と漢方医学A