ブックタイトル臨床で活かす がん患者のアピアランスケア

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概要

臨床で活かす がん患者のアピアランスケア

237ウィッグを使用したいが,フルウィッグよりも高価であり,合わないものを購入してしまうと費用負担が大きいため,ウィッグの選択についても悩んでいることがわかった.□□ 脱毛の回復の見込みについての確認脱毛が回復した状態で職場復帰したいと望んでいたが,治療後1 年が経過したものの放射線照射を行った部位のみ毛量が少ない状況であった.放射線照射による脱毛は,通常では治療終了後6 カ月?1 年で回復するが,永久脱毛となる場合もあり,回復の見込みについて確認する必要があると考えた.回復の見込みを聞くことで心理的負担にならないかE さんの思いを確認すると,「今後どの程度の期間で回復するのか,回復しないのであれば,回復しないことを前提に職場復帰の時期や脱毛にどう対応していくのかを考えたい」という発言があったため,外来の定期受診時に放射線治療医に回復の見込みについて確認することを提案した.E さん本人から放射線治療医へ確認した結果,放射線照射部位の毛髪の発育速度は遅く時間を要すること,回復の見込みや時期については明言できないという返答であった.E さんは「回復の見込みがわからないのであればしかたない」と話し,部分的な脱毛がある状態でどのように職場復帰するか,抱えるおのおのの問題について検討していくことにした.□□ 職場復帰にむけての支援頭頂部以外は毛量があるため,部分ウィッグで対応することにした.費用の問題があったが,E さんは自分で情報収集をして,安価で自分に合うものをすでに入手していた.ウィッグが外れることへの不安については,脱毛について子どもへ説明することを検討したが,実際に購入した部分ウィッグを装着すると,意外にしっかりしていて外れにくいことを実感したため安心感が得られ,子どもへの説明は行わずに職場復帰することを選択した.仕事内容については職場の上司へ相談が必要で,治療による脱毛や回復見込みを話したうえで,プールに入っての指導を免除する配慮が可能か,その際は同僚に対する説明をどのようにするかなど,上司に相談する具体的相談内容をE さんと整理した.その後,上司との相談の結果,理解が得られ,プールに入っての指導は免除となった.また,同僚へも仕事内容の配慮に対して理解が得られるように説明されることになった.5.職場で特別な配慮や説明が必要となった事例